環境配慮コンクリートを用いた擁壁を高速道路工事に初適用

2023年7月26日

既存工場でL型擁壁を製作し環境配慮コンクリートの汎用性を実証

 当社は、環境配慮コンクリート「T-eConcrete®※1」のうちセメントを全く使用しない「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」を使用して製作したL型擁壁10基(コンクリート使用量約11m3)を、名和高架橋他12橋耐震補強工事※2の工事用道路整備工において,掘削した橋脚基礎部の周囲に仮設擁壁として適用しました。

 当社が開発した「T-eConcrete」は、コンクリート部材の製造時に普通セメントの代わりに、銑鉄と同時に生成される産業副産物の高炉スラグ※3や石炭火力発電所での微粉炭燃焼で発生する石炭灰を集塵したフライアッシュ※4を混合することで、コンクリートの製造に関連して排出される CO2の大幅な削減を実現しつつ、従来と同等以上の性能を有する環境に配慮したコンクリートです。これまでに4種類(①建築基準法対応型、②フライアッシュ活用型、③セメント・ゼロ型、④Carbon-Recycle)をラインアップし、目的・用途に応じて使用することができます。

T-eConcrete®を使用したT-eConcrete®を使用したL擁壁
T-eConcrete®を使用したL擁壁

本工事におけるT-eConcrete/セメント・ゼロ型の特徴

①コンクリート材料製造時のCO2排出量を大幅に削減

T-eConcrete/セメント・ゼロ型は、従来のコンクリートと比較してコンクリート材料製造時のCO2排出量を7割以上削減しており、従来のコンクリートで製作するL型擁壁に比べCO2の排出量を約2.7t削減しています。

②従来と同様の製造方法により同等以上の性能を実現

削箇所や高低差がある場所の土砂を押さえる L 型擁壁は、二次製品工場で製作します。「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」を用いた L 型擁壁も、他の T-eConcreteを用いた二次製品と同様に、製造方法や設備に特別な改良を加えずに製作しました。強度や耐荷性、耐久性は従来の製品と同等以上です

③(産業副産物である)高炉スラグの大量使用により資源を有効活用

T-eConcrete/セメント・ゼロ型は、1m3あたり300kgを超える高炉スラグを使用しており、資源の有効利用に貢献します。

今後、当社は、環境配慮コンクリート「T-eConcrete」をカーボンニュートラルの実現に向けて有効な環境対策技術の一つとして、コンクリート二次製品に積極的に採用することにより、CO2排出量の削減と産業副産物の有効利用を推進し、低炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。

関連情報

※1 参考資料:大成建設HP>地図に残る仕事。®>技あり>技術解説>使えば使うほど二酸化炭素を削減!新たな未来をつくるカーボンリサイクル・コンクリートの秘密
使えば使うほど二酸化炭素を削減! 新たな未来をつくるカーボンリサイクル・コンクリートの秘密

※2 伊勢湾岸自動車道 名和高架橋他12橋耐震補強工事 発注者 中日本高速道路株式会社 名古屋支社 施工期間 2023.3.10~2023.3.11

※3 高炉スラグ
高炉(溶鉱炉)で銑鉄と同時に生成される産業副産物。ここでは水によって急冷し、乾燥・粉砕した高炉スラグ微粉末。

※4 フライアッシュ
石炭火力発電所で微粉炭の燃焼により発生する石炭灰のうち、集塵器で採取された灰。

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