CO2排出量収支がマイナスとなる環境配慮コンクリートを公園ベンチに初適用
-「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を用いて人が集うくつろぎの場を創出-
2023年9月15日
当社は、環境配慮コンクリート「T-eConcrete®※1」のうち、CO2排出量の収支がマイナスとなるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を、「ひろしまゲートパーク※2」の公園ベンチに初適用しました。
当社では、建設分野におけるCO2排出量の大幅削減を目的として、従来のコンクリートに替わる「T-eConcrete」を開発・適用しています。「T-eConcrete」は、普通セメント(ポルトランドセメント)の代わりに産業副産物の高炉スラグ※3やフライアッシュ※4などを混合したコンクリートで、材料の製造過程で発生するCO2排出量を大幅に削減しながら、従来品と同等以上の性能を有しています。これまでに4種類(①建築基準法対応型、②フライアッシュ活用型、③セメント・ゼロ型、④Carbon-Recycle)をラインアップし、目的・用途に応じて使用することができます。
今回使用した、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、①セメントを使用せずに高炉スラグを特殊な反応剤を用いて固めることでCO2排出削減を図るとともに、②排気ガス中のCO2を吸収して製造した炭酸カルシウムを使用することで、材料起因のCO2排出量収支マイナスを実現します。2021年2月の開発以降、自社施設の屋内間仕切壁、現場打ち舗装および舗装ブロックの他、民間施設の門塀等への適用で蓄積した部材製造のノウハウをもとに、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を用いたベンチを初めて製作し、CO2排出量の大幅な削減を実現しながら、人が集うくつろぎの場を創出しました。
「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を用いたベンチの特徴
1. CO2をコンクリート製ベンチに固定し、カーボン・ネガティブを実現
旧広島市民球場跡地に整備した「ひろしまゲートパーク」内の大屋根(高さ約9m、広さ約900m2)を支える16本の柱下部に、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」で製作したベンチ(奥行き45㎝、高さ30㎝)を3基ずつ、計48基設置しました。排ガスなどのCO2を吸収して製造される「T-eConcrete/Carbon-Recycle」のベンチでは合計約1tのCO2を固定し、CO2排出量を通常製品のベンチと比べて約2トン削減することで、カーボン・ネガティブを実現しています。
2. 従来と同様の製造方法で、強度、耐久性に優れたベンチを提供
「T-eConcrete/Carbon-Recycle」で製作したベンチは、他の 「T-eConcrete」を用いた二次製品と同様に、製造方法や設備に特別な改良を加えずに製作でき、耐荷性や製作性、耐久性は従来の製品と同等以上です。
今後、当社は、環境配慮コンクリート「T-eConcrete」をカーボンニュートラルの実現に向けた有効な環境対策技術の一つとして、コンクリート二次製品に積極的に採用することにより、CO2排出量の削減と産業副産物の有効利用を推進し、低炭素社会と循環型社会の構築に貢献してまいります。
関連情報
※1 参考資料:大成建設HP>地図に残る仕事。®>技あり>技術解説>使えば使うほど二酸化炭素を削減!新たな未来をつくるカーボンリサイクル・コンクリートの秘密
使えば使うほど二酸化炭素を削減! 新たな未来をつくるカーボンリサイクル・コンクリートの秘密
※2 ひろしまゲートパーク
旧広島市民球場跡地を整備し、令和5年3月31日に供用開始した市民の憩いの公園。
※3 高炉スラグ
高炉(溶鉱炉)で銑鉄と同時に生成される産業副産物。ここでは水によって急冷し、乾燥・粉砕した高炉スラグ微粉末。
※4 フライアッシュ
石炭火力発電所で微粉炭の燃焼により発生する石炭灰のうち、集塵器で採取された灰。