- (1)ブロック製造時
 ブロック製造時には、CO2排出量が多いセメントを使用せずに高炉スラグ(製鉄副産物)に置き換え、使用材料のCO2排出量を大幅に削減しました。さらに、CO2を吸収・固定して製造した炭酸カルシウム(CaCO3)を加え、使用材料に起因するCO2排出量の収支をマイナスにしました。その結果、使用する設備や装置などに由来するCO2排出量を含め、製造時のCO2排出量はカーボンネガティブを達成します。
- (2)備蓄時
 根固めブロックは河川災害対策のため堤防の上などに備蓄されます。備蓄中に大気からCO2を吸収できるよう、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」の特性を調整しました。一般に硬化後にコンクリートがCO2を吸収すると内部の鉄筋の腐食が懸念されますが注1、根固めブロックは鉄筋を要しない無筋コンクリートであるため、CO2を大量に吸収することが可能になりました。
- (3)供用時
 供用時には、根固めブロックは河川に投入され、大気からのCO2吸収は難しくなります。そこで「環境活性コンクリート」パネルをブロック表面に取付けました。環境活性コンクリートには藻類の繁殖を促すアミノ酸(アルギニン)が含まれており、藻類による光合成を通じて水中でのCO2吸収・固定を促進します。
図1 カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック
 
注1:コンクリートの多くは鉄筋コンクリートとして使用される。コンクリートは強アルカリ性であるため、鉄筋の表面に保護被膜が形成され酸素と水の供給があっても鉄筋は腐食しない。一方、コンクリートが酸性ガスであるCO2を吸収すると中和されて強アルカリ性を失い、鉄筋の保護能力が低下する。