お知らせ
『T-eConcrete®/Carbon-Recycleを用いた根固めブロック』のCO2吸収・固定機構を現場実証
2025年3月19日
~国土交通省 関東地方整備局公募事業において、製造、備蓄、供用の3段階でのCO2吸収効果を確認~
当社と日建工学株式会社は、国土交通省 関東地方整備局による「第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング」※1の一環として、『カーボンリサイクル・コンクリートを用いた根固めブロック』を荒川下流河川事務所管内にて製造、備蓄、供用を行い、そのCO2吸収効果などの性能を実証しました。この取り組みにより、根固めブロックの製造、備蓄、供用までの各段階でCO2吸収・固定が可能であることを明らかにしました。
根固めブロックの製造、備蓄、供用について

(1)製造時
根固めブロックはセメントを使用せず、高炉スラグ微粉末とカルシウム系刺激材を主な結合材とし、さらにCO2を吸収・固定した炭酸カルシウムを練り混ぜて製造した「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を活用し、製造段階で大量のCO2を固定しました。
(2)備蓄時
根固めブロックは堤防決壊の際の緊急復旧資材として堤防の上など大気中で備蓄されています。一般に根固めブロックは無筋コンクリートであるため、コンクリートの中性化(CO2の吸収)の抑制は必要ありません。このため、通常とは異なり、「T-eConcrete/Carbon-Recycle」の配合を調整し、大気中でのCO2の吸収を促進しました。
(3)供用時
備蓄された根固めブロックは水害リスクが高まった際に水中に投入されるため、大気からのCO2吸収は不可能です。そこで、日建工学の「環境活性コンクリート※3」パネルをブロック表面に取付け付け環境活性コンクリートに練り混ぜたアルギニン(アミノ酸)による藻類の繁茂を促進し、CO2の吸収・固定量の増加を図りました。
これまで当社では、T-eConcrete/Carbon-Recycle製造時におけるCO2削減に関する実績を積み重ねてきました。今回の現場実証では根固めブロックの使用形態を考慮し、製造時に加え、備蓄時および供用時におけるCO2吸収機能を追加しました。2022年8月から2024年3月までの約20カ月間、現場での検証を行った結果、製造時に大量のCO2を固定した後も、備蓄時および供用時にさらなるCO2吸収・固定が確認されました。

(根固めブロックから試料を回収して中性化深さから中性化速度を求め、備蓄時のCO2吸収・固定量を算出した)

(「環境活性コンクリート」のパネルを水中に浸漬して藻類の付着量を調査し、供用時のCO2吸収・固定量を算出した)
①製造時のT-eConcrete®/Carbon-RecycleによるCO2固定量 | 142kg/個 |
②20カ月間備蓄時のT-eConcrete®/Carbon-RecycleによるCO2吸収量 | 3.5kg/個 |
③20カ月間供用時の環境活性コンクリートによるCO2吸収量 | 0.8kg/個 |
また実証結果から、CO2吸収・固定量が長期的に安定して維持されることが予測されます。

(ブロックの寿命を50年とし,備蓄期間と供用期間に割り振った) )
今後、両社はカーボンニュートラルの実現に向け、ライフサイクル全ての段階でCO2削減可能な『T-eConcrete/Carbon-Recycleを用いた根固めブロック』の社会実装を進め、低炭素社会の構築に貢献してまいります。
注釈
※1 第3回コンストラクション オープンイノベーションマッチング
国土交通省 関東地方整備局による「現場ニーズと技術シーズのマッチング」と、経済産業省 関東経済産業局及び中小企業基盤整備機構 関東本部による「オープンイノベーション・マッチングスクエア」が連携した取組。現場ニーズ71件に対して、33技術の応募があり、現場実証に向けたマッチングが22件成立(令和4年3月18日)。関東地方整備局 荒川下流河川事務所の現場ニーズとして公募された「CO2吸収コンクリートによるコンクリートブロック」に提案し、採択された。
※2 カーボンリサイクル・コンクリート(T-eConcrete®/Carbon-Recycle)
※3 環境活性コンクリート
アミノ酸の一種「アルギニン」を混ぜたコンクリート。水中で「アルギニン」が長期間に亘り溶出し、微細藻類や小型藻類の成長促進などに効果を発揮。藻類が固定したCO2はブルーカーボンとして計上できる。