これからも社員が住みたいと思う魅力ある寮を
リニューアルしたい

「耐震性能アップ」「居住環境の改善」「環境配慮」の3つの視点から
お困りごと
築40年を迎える社員寮の耐震診断を検討している。
耐震改修によって建物の寿命を延ばせるのであれば、建物全体をリニューアルしてハード・ソフトの両面から寮を生き返らせ、これからも社員が住みたいと思う魅力ある寮への転換を図りたい。
成功事例
株式会社日立ハイテクフィールディング様は、日立グループの一員として研究開発・産業・医用・半導体製造関連などの最先端分野のフィールドサービスを担っておられます。
東京都西東京市に位置する独身社員寮「新町寮」の敷地内には、築40年の本館と、1995年に新設された新館の2棟が建っています。
2010年、大成建設によって2棟のうち新耐震設計法以前に建設された本館の耐震診断を行いました。

BCP(事業継続)
株式会社日立ハイテクフィールディング 人事総務本部 総務部 部長代理 山本 貴也 様
2010年の春ごろ、地震や耐震に関する様々なニュースに喚起され、新町寮の耐震性能を喫緊に調べようと情報収集を行っていました。
ある新聞で、大成建設がBCP(事業継続)の一環として新たに防災拠点化した社員寮「プレミール初台」のリニューアル工事に関する記事を見つけ、独自の耐震補強技術を使って美観にも配慮した耐震改修を効率的に行っていることを知り、魅力を感じました。初台寮に見学に伺い、大成建設の固有技術やノウハウについて実際に目で見て、聞いて、知ることができました。
耐震診断から、場合によっては建物のリニューアルまで安心してお任せできると思い、大成建設にお願いしました。

診断の結果、本館は耐震補強を行って所要の耐震性能を満足させる必要がありました。
「耐震補強を行い、新町寮を今後も活用するのであれば、この先15年は維持したい。そのために寮としての機能やデザインを刷新し、社員が入居したいと思う居住環境を整えたい。」というお客様の声を受け、大成建設は安全性、機能性、デザイン性などそれぞれの要素に付加価値をもたらすリニューアルを実現しました。
ソリューション
ソリューション
建物をリニューアルして「耐震性能アップ」「居住環境の改善」「環境配慮」を実現!
建物をリニューアルするということは、旧くなった建物を単に復旧、あるいは更新するだけではありません。その特性を考慮し、建物を使用する人や用途に求められる機能・デザインなどに付加価値を加えて、ハード・ソフトの両面から建物を生き返らせます。
今回のプロジェクトでは、予算内で効率の良いリニューアルを実現するため、大成建設の臨床心理学を用いたオリジナルインタビュー手法である「T-PALET」を活用して社員の方々からニーズを引き出し、取り組むべき項目の優先順位を決めました。
そのうえで設計部門や構造部門など各部門が連携を取り、既存の建物の“どこを・どれだけ・どのように”改修するか検討を重ねました。
「耐震性能アップ」「居住環境の改善」「環境配慮」という3つの視点で具体的な計画を立てていきました。

「魅せる」「使える」耐震補強技術
新町寮本館1階の4か所(寮室バルコニー、管理人住戸、リビングスペースの2か所)に、その場所ごとの特性に合った当社オリジナルの耐震補強技術を採用しました。
バルコニーの手摺部分に、手摺形状をした補強フレームを設置。手摺と補強を兼ねた合理的な耐震補強です。内部空間への影響が少なく、寮室内の解体復旧工事を削減します。デザインの自由度も高いです。

既存の開口を利用することで、採光と換気を出来るだけ確保する合理的な耐震補強です。


これらの耐震補強技術は、耐震補強はもちろんのこと、採光や通風などに優れ、窓や間仕切り、手すりなどの役割も果たします。内装・外装など建築的な改修箇所に耐震補強を組み合わせて同時に行える技術であり、改修箇所を最小限に抑えることでコスト削減にもつながります。
構造耐震指標 Is=0.6
大成建設 設計本部耐震計画グループ 矢島 龍人
本館の構造耐震指標 Is=0.6を満たすために必要な補強量を計算し、どのような耐震補強技術を、どこに、どのような形で採用できるか可能な限りのパターンを考えました。例えば、管理人住戸には開閉や採光など窓としての機能を持つ居室向けの耐震補強技術「T-Twall」を採用することで、「管理人住戸を明るくキレイにしたい」というお客様のご要望と、必要な耐震強度を両立しました。お客様が寮に求めることと耐震補強とを組み合わせ、建物一体でのバリューアップを図りました。


交流しやすい環境
世代や部門を超えたコミュニケーション
寮生どうしが交流しやすい環境を整えるため、食事を摂る時以外に集まれる場所として、本館1階にリビングスペース(談話スペース)と自炊用のキッチンコーナーを新設しました。


コミュニケーションをさらに活性化
大成建設 設計本部建築グループ(住居) アーキテクト 杉本 士美
寮生どうしのコミュニケーションをさらに活性化するため、リビングスペースに談話スペースを新設しました。リニューアルするリビングスペースの一部に耐震補強を合わせて行うこととしたため、透過性があり、間仕切りとしても使える「T-Grid」を採用しました。寮生さんたちは、格子状の形を活かして装飾品や本を置いたりするなど、「T-Grid」のデザインを上手に利用されているようです。



今回のプロジェクトでは、お客様のご要望や改善課題を、なるべく建物を壊さずに実現するよう意識してプランニングを進めました。意匠と構造が融合したソリューションによって、ムダの無い合理的なリニューアルを実現しています。
サポート
快適な寮生活をサポート
- 寮生が安全で快適な生活を送れるよう、新町寮における従来の課題を改善したり、新しい機能を取り入れるなど、環境配慮にも対応しながら一つ一つ具現化しました。
- 本館、新館の寮室や共用部の内装を改修してデザインイメージを一新しました。共用部の照明は省エネ効果の見込めるLED照明に更新しました。
- 本館の浴室の給湯には太陽光温水システムを採用しました。自然エネルギーの利用により環境に配慮するだけでなく、24時間給湯が可能となり、いつでも入浴できるようになりました。
- 新館には入浴設備が無かったためシャワーコーナーを新設しました。新館に住む寮生の入浴の利便性が高まりました。
- (シャワーコーナーは、もともと洗濯コーナーであったスペースを変更して新設しました。洗濯コーナーは倉庫スペースを変更して設置しました。)


細かなニーズを具現化
新町寮 寮長
株式会社日立ハイテクフィールディング
CS経営戦略本部 情報システム部 情報セキュリティ課 安藤 正顕 様
新町寮は見た目も中身もキレイになり、とても使いやすくなりました。寮生は、談話スペースでくつろぎながら、あるいは一緒に料理をつくりながら、年齢や部門に関係なく気軽に交流しており、他部門との情報交換の機会がさらに増えました。
今回のリニューアルでは、建物がキレイになるだけでなく、寮で生活する私たちの細かなニーズを具現化してもらいました。感謝しています。

新町寮 管理人 高田橋(こうだはし)ご夫妻 様
見違えるほどキレイで使いやすくなった新町寮では清掃性も向上し、管理が行いやすくなりました。何よりも、寮生さんたちの安全性が確保されており、管理人として安心です。
寮生さんたちは普段からお互いに言葉を掛け合い、風通しの良い雰囲気の中で共同生活を送っておられます。共同生活の中で培われる様々なことを仕事でも十分発揮されていることでしょう。今後も、寮生さんたちの健康管理を第一に考え、陰ながら支えていきたいと思います。

工事概要
発注者 | 株式会社日立ハイテクフィールディング |
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所在地 | 東京都西東京市新町 |
竣工 | 2012年3月 |
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