テナントビルを使いながら、BCP対策を強化したい。
お困りごと
自社で所有・管理するビルのBCP対策を強化する一環として、築44年を経るテナントビル（名称：MUS豊橋ビル）の天井の地震対策を検討している。
テナント様に一時的な退去を求めることなく、建物を使いながら短期間で工事を行いたい。
成功事例
MUSビジネスサービス株式会社様は、三菱UFJフィナンシャル・グループ（MUFG）傘下の証券持株会社である三菱UFJ証券ホールディングス株式会社様の100%子会社で、証券関連のバックオフィス業務およびファシリティ業務におけるエキスパートとして、お客様の証券ビジネスへの信頼に応えておられます。
MUSビジネスサービス株式会社様が所有・管理しているビルにおいて、今後も入居者の皆さまが安全・安心かつ快適に施設や設備を利用できるよう、BCP対策を強化するための具体的な減災対策を計画し、推進されています。
その一環として、MUS豊橋ビル（地下2階、地上6階建）では、2013年12月～2014年3月にかけて大成建設の提案・施工により、天井の地震対策工事が行われました。
ソリューション
工事中も入居者の日々の業務に支障をきたすことなく、短期間で、ビルの天井の落下防止措置を行い耐震性能を高めるため、大成建設と日栄インテック株式会社が共同開発した「T-Ceiling Grid（ティーシーリンググリッド）」を採用しました。T-Ceiling Gridは、既存の天井を解体することなく、既存の天井の下側から施工することが可能な「天井の落下防止措置」工法です。
T-Ceiling Gridの構成と施工方法
【構成】
既存の天井の下部に配置する軽いアルミ製水平材と、新たに設置する鉛直支持材で構成します。
【施工方法】
天井仕上材に小さな穴をあけ、その穴から上階スラブにあと施工アンカーを打ち込み、新たに鉛直支持材を設置して、最後にアルミ製のフレームを天井下に取り付けます。
建築本部技術部建築技術室 尾方 大輔
今回のプロジェクトではMUS豊橋ビルの各階の天井のうち、「万が一、天井が落下した場合に人害の発生するのはどの部屋か」という視点でお客様とともに協議を重ね、T-Ceiling Gridを採用する工事範囲について優先順位を決めていきました。
T-Ceiling Gridは作業が容易で解体を伴わないため、オフィスなどを使いながら、既存の天井の落下防止対策を行うことのできる技術です。建物の用途を問わずに採用することができ、「簡便な施工」、「高い耐久性」、「デザインの柔軟性」の3つのメリットを実現します。
1．簡便な施工
- 一般的な工法に対して、コストは1/2～1/3に低減、工期は1/3に短縮。
- 施工単位（面積）が狭くても作業性は変わらないため、建物を使いながらの工事に最適です。
2．高い耐久性
- 2013年8月の国土交通省告示※1、同年9月の技術基準の解説※2に準拠した構造です。
- 落下防止措置の主要部材である鉛直支持材が躯体もしくは準構造部材に緊結されており、告示で明記されている「構造耐力上主要な部分等に伝えることができる構造」となっています。
- ※12013年8月に公布され、2014年4月1日より施行された「建築物の天井脱落対策関連告示」（国土交通省告示第771号他）
- ※2「建築物における天井脱落対策に係る技術基準の解説」（出典：国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、一般社団法人新・建築士制度普及協会）
3．デザインの柔軟性
- 照明、設備機器を避けて設置することができ、また、点検口はジョイント設置により開閉可能とします。スプリンクラーの散水障害になることもありません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
豊橋支店 支店長 佐々木 佳文 様
今回の工事によって、当支店に来店されるお客様と、働く社員の安全性を確保することができました。毎月、当支店ではお客様向けのセミナーをビル内共用会議室にて開催しており、その際にもいっそう安心してお客様をお呼びすることができるようになりました。
金融業界は、目まぐるしく変わる市場の変化につねに敏感に対応しなければなりませんので、そういう点でも、私たちの営業を1日もストップさせることなく、安全に遅滞なく工事を行ってもらえたことはとても助かりました。
工事後の天井の見た目は、想像していたよりもずっとスタイリッシュで自然な形に仕上がっており、当支店で働く社員からも「耐震化したとは思えない自然な仕上がりで良い。以前にくらべて見た目もキレイになったので嬉しい」などの感想を聞いています。
工事概要
| 発注者 | MUSビジネスサービス株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県豊橋市駅前大通1-27 |
| 竣工 | リニューアル：2014年3月 |
| URL |
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MUSビジネスサービス株式会社
ファシリティ業務部 第二課 中島 敬太 様
当社が所有するビルのうち、MUS豊橋ビルを含む旧耐震基準で建てられたビルについては、新耐震基準に準拠させるための耐震補強工事をすでに完了しており、建物の構造体に関しては一通りの耐震化を行っていました。
しかし、当社はビルオーナーとして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券をはじめとする入居者の皆さまにより安全で安心できる環境を提供していく責務を果たすため、具体的な方策として、天井など非構造部材の減災対策を策定し、BCP対策を強化する方針を固めました。
数社の建設会社からのヒアリングを進めていく中で、大成建設様からは、入居者の皆さまに一時退去を求めなくて済み、短工期で、想定していたよりも低コストに天井の耐震化を行える新工法「T-Ceiling Grid（ティーシーリング グリッド）」など、私たちの求める高い技術力と情報を提供いただきましたので、今回の工事を発注することにいたしました。