サンヨー食品株式会社 サンヨー赤坂ビル

テナントの営業を妨げることなく、
ビルを使いながら耐震補強を行いたい。

お困りごと

築後40年を経る本社ビルの耐震補強※を行うにあたり、入居しているテナントの営業を妨げずに、ビルを使いながら工事を行いたい。
また、「建物内外の美観を損なわない」「室内スペースの面積減とならない」耐震補強を行いたい。

  • 既存の建物に対し、地震に対してより強い建物とするために、壁や柱などの耐力や剛性、ねばり強さを向上させて建物の耐震性能を高める方法。

成功事例

「サッポロ一番」ブランドの即席麺でお馴染みのサンヨー食品株式会社様。
昭和28年の創業以来、「良い味の創造」を経営理念とし、「迅速なる行動、熱心なる販売」を行動理念として掲げ、即席麺をはじめ様々な食料品の製造・販売を手掛けられています。

外堀通り側より撮影
外堀通り側より撮影
「サッポロ一番」ブランドの即席麺

サンヨー食品株式会社様の本社ビルである「サンヨー赤坂ビル」は、都内の赤坂駅から徒歩で数分の外堀通りに面した好立地に建っています。
築後40年を迎え、時代に合せて耐震性能アップを図ることになりました。

サンヨー食品株式会社 様

サンヨー赤坂ビル(地下1階、地上9階建)の6階から9階に当社の本社機能が集約されており、その他の階には各テナント様が入居されています。
東日本大震災より以前から、社員とテナント様の安全性を維持・強化するため、ビルの耐震補強を検討しており、具体的なプランニングについて数社から提案していただきました。
大成建設は、私たちの要求を最も的確に捉え、要求以上の素晴らしい提案をしてくださいました。

具体的には、

  • 工事のために社員やテナント様が移動することなく、ビルを「使いながら施工」する
  • 既存躯体の外側にフレーム型の耐震補強材を設置(アウトフレーム補強)し、外装を一新することで、美観を損なわず、室内スペースの面積減とならない耐震補強を行う
  • 外装は構造と意匠が一体となる設計を行い、スタイリッシュな外観デザインを実現する

など、建物の安全性、機能性、デザイン性の各要素に付加価値をもたらすリニューアル提案を評価しました。

ソリューション

「使いながら施工」「美観に配慮」「室内スペースの面積を維持」
お客様のニーズに最適な耐震補強で、建物をバリューアップ!

お客様から提示された、「使いながら施工」「美観に配慮」「室内スペースの面積を維持」という3つのご要望にかなう耐震補強を計画するにあたり、設計部門や構造部門が協働し、建物の構造耐震指標を満たすために必要な補強量を計算した上で、多様な耐震補強構法の中から「どの構法を選択し、建物のどの部分に適用すべきか」について検討を重ねました。

最大のポイントは「アウトフレーム補強」

外堀通り沿いに面し、サンヨー赤坂ビルの“広告塔”の役割を果たす外壁に「アウトフレーム補強」を採用しました。さらに、補強材の上から外装を施すことで、アウトフレーム補強の存在を隠したデザイン性の高い外観を実現しました。

アウトフレーム補強

アウトフレーム補強は、既存躯体の柱や梁で構成される枠組み(フレーム)の外側に補強材を足してはめ込むため、室内に補強材が出現することがありません。ゆえに、室内面積を維持し一定の空間を確保することができるため、ビルを使いながら施工に必要な最低限スペースを確保しつつ、施工していくことができました。

間仕切壁より窓側を作業スペースとして確保
間仕切壁より窓側を作業スペースとして確保

耐震補強

設計本部 構造設計第三部 西本 信哉

通常の耐震補強構法では、既存躯体の柱や梁で構成されるフレーム内にX字型やV字型の補強材を組み込んだり、壁を増設するのが一般的です。
しかし、これらの補強方法では、補強材が室内に出現し、建築計画や外観への影響が生じるとともに室内の有効面積も減少します。また、建物内部に補強材を追加する場合には、工事中の建物の使用に大きな制約を与えたり、場合によっては建物が使用できなくなることがあります。

設計本部 構造設計第三部 西本 信哉

そこで本建物では、補強フレームを外堀通り側の既存の柱・梁フレームに添わせるように建物外側から増設し、さらに建物裏側の既存耐震壁に外部からの増し打ちを行いました。
これにより、建物の外観や有効面積を損なうことなく耐震補強が行えると同時に、施工も建物外部から行うため、建物を使用しながらの補強が可能となりました。

既存耐震壁を増し打ち
既存耐震壁を増し打ち

設計本部 建築設計第一部 玉井 麻由子

耐震補強要素をデザインと融合させる箇所と、補強要素のみを付加する箇所を区別し、建物の適材適所に耐震補強を選択してプランニングに落とし込みました。
補強材を見せないアウトフレーム補強を採用することで、耐震補強を施したとは思わせない室内環境とファサードにすることが出来ました。

建物の“顔”

機能性を付加した存在感のあるデザイン

建物の“顔”となる外堀通りに面する外壁は、アウトフレーム補強とともに外装のリニューアルを行いました。アウトフレーム補強の各フレームの採寸に合せてサッシを割り当て、構造体とデザインの融合を図っています。

ビフォアアフター

ペアガラス

設計本部 建築設計第一部 濱田 真介

今回のプロジェクトでは、ただ建物を強くするだけでなく、耐震補強や省エネ対応、外装デザインの一新など、建物に求められる耐震性・機能性・デザイン性を両立し、お客様のニーズの一歩先行く提案を目指しました。

開放感をもたらす連窓には、省エネ効果の見込めるペアガラスを採用しました。
また、法規上必要とされる排煙窓を横強調のデザインの一部として活かすため、開口窓であるとは分からないようにサッシと一体型のパネル構成にしました。ガラスの透明さとアルミリブ材の付いた排煙窓による陰影のあるシックなデザインは、赤坂の街並みの中で存在感を示す仕上がりとなっています。

設計本部 建築設計第一部 濱田 真介
排煙窓の存在を消す外装ディテール
排煙窓の存在を消す外装ディテール

東京支店建築第3部 大谷 智之

お客様の安全性を確保しつつ「ビルを使いながら施工」を遂行するため、設計部門と施工部門が一丸となって、例えば「どの工事を、どの時期に、どの時間帯(昼間もしくは夜間)に行うことが最も有効であるか」など、工事計画の検討を重ねて実施しました。綿密な施工計画と各テナント様とのコミュニケーションを実施することで、お客様の業務を停めることなく、無事に工事を完了することができました。

東京支店建築第3部 大谷 智之

工事概要

発注者 サンヨー食品株式会社
所在地 東京都港区赤坂3-5-2
竣工 1973年
リニューアル 2012年4月
延面積 5,771㎡
URL
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関連情報

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