将来の事業展開を担う工場を実現

お困りごと
冷菓事業の商品ラインアップを充実させ、事業を拡大するため新工場を建設したい。
「高品質で安全安心な商品づくり」と「将来の事業展開を担う工場としてのあるべき姿」にこだわり、新工場を計画したい。
成功事例
明治29年に和菓子屋として創業されて以来、お客様に心から喜んでいただける商品づくりを追求されている井村屋株式会社様。
常温、冷凍、冷蔵、外食といった全ての流通形態に対応できる商品開発力や生産力、販売網などを活かし、お菓子や食品をはじめとする7つの事業を展開されています。
2011年1月、三重県津市にある本社工場の敷地内に、新工場「アイスデザート工場」が大成建設の設計・施工により完成しました。

ソリューション
新工場の計画では、井村屋様の冷菓事業の主軸である「たい焼きアイス」などモナカ商品の生産と、新商品の生産を展開していくことを鑑み、「高品質で安全安心な商品づくりを行える工場であること」と「モナカのパリっとした食感を追求し、品質をさらに向上すること」にこだわりプランニングを行いました。

高品質で安全安心な商品づくり
明確なゾーニング

旧工場では、増設・移設によって機械や設備が多くなり、人・モノの動線が交差してしまう箇所がありました。新工場では、生産エリアへの入退室ゾーンや各作業ゾーンを分かりやすく区分けし明確なゾーニングを行うことで、人・モノの交差汚染防止と異物混入対策を実現しました。
一貫した生産ライン
モナカ商品の工程では、充填から包装まで一貫した生産ラインを構築しました。よりスムーズな生産体制を築くことで商品の品質を確保し、また、歩留まりの改善など生産性アップも見込めます。

井村屋株式会社 津工場 アイス部門 部門長 伊藤 浩利 様
大成建設は、異物混入対策の一環として原材料の搬入口に専用のエアシャワーを設けたり、生産エリアを塵溜まりのしにくい設計にするなど、細かな点まで工夫してクリーンな作業環境を実現してくれました。
モナカの食感を改良するための工夫も色々と行い、その一つに、従来は充填→包装→冷凍していたところを充填→冷凍→包装に変更し、冷却効率を高めることでモナカへの水分移行を抑えています。私たちの要望やコンセプトを理解して協働してくれたおかげで、希望どおりの工場がつくれました。
働きやすく、作業効率もアップ
生産エリア内には、あん炊き室など温度・湿度が非常に高いゾーンを計画する一方で、モナカの冷凍硬化を行うなど非常に低温なゾーンを計画する必要がありました。作業工程によって室内の温度差が激しいと従業員の負担となるため、例えばあん加工ゾーンの吸排気バランスを調整するなど空調計画を綿密に行い、ほとんど温度差を感じない作業環境を実現しました。
見せる・見られる・見せられる工場
生産エリアの一部を見学できるよう、見学者ホールを設置しました。
市内の小学生たちが社会科見学で訪れる機会が多いことを考慮し、小学生の目線の高さに合わせて見学窓を設えています。

井村屋株式会社 津工場 アイス部門 部門長 伊藤 浩利 様
見学者ホールからは「たい焼きアイス」の工程の一部を見られます。特に、新型のチョココーティング設備で、たい焼き型のモナカの形状に合わせてチョコをスプレーする様子を間近に見ることができ、子供たちは喜んで見学しています。
私たちは、いつでも“見せられる工場”であるように常に5Sを意識して衛生面での取り組みを徹底しています。
工事概要
発注者 | 井村屋株式会社 |
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所在地 | 三重県津市高茶屋7-1-1 |
竣工 | 2011年1月 |
延面積 | 1,508m2 |
敷地面積 | 63,297m2(津工場全体) |
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井村屋株式会社 技術・設備環境部 設備・環境チーム チーム長 辻本 英明 様
本社工場の敷地内には、羊羹・水ようかんやカステラ、肉まん・あんまん、アイスクリーム、豆腐、冷凍菓子などを生産する各工場が点在しています。それら全温度帯商品を生産する技術やノウハウは、当社が長年にわたり培ってきた強みであり、その優位性を活かして新商品を展開し、事業を拡大していくことを成長戦略の一つに掲げています。
新工場では、例えば「菓子+アイス」「あん+アイス」など当社の特色と技術を取り入れ、アイスクリームと他の商品を融合させたデザート感覚の冷菓をつくり出していきます。
今回のプロジェクトでは、大成建設とともにそのようなコンセプトを共有しプランニングに反映しました。そして、完成した新工場を「アイスデザート工場」と命名しました。