地域と共生ができる工場を建設したい。

安心・安全な製造環境とブランドイメージの発信
お客様のご紹介
モンテール様は、「おいしい」「やさしい」「たのしい」スイーツを通じて「おやつの時間」のワクワクをお届けするという理念のもとに、美味しさと安全・安心にこだわったシュークリームやロールケーキなどの商品で「楽しいひととき」を提供し続けています。この度、つくば工場、美濃加茂工場に続き、近畿・中国・四国・九州地域の皆様へ、スイーツをお届けする生産物流拠点として、岡山県総社市に新工場建設を計画されました。

プロジェクトのコンセプト
今回のプロジェクトでは、モンテール様の理念を実現させる工場を目指し
- 安全・安心な製造環境の確保
- 持続可能な工場の構築
- 従業員にやさしい環境
- ブランドイメージの発信と地域との共生
を課題とし、用地選定から設計・施工までを一貫して取り組みました。
安全・安心な製造環境を確保する
新工場では建物の全長を長くとり、ニーズの多様化に対応でき、かつ生産性の高いロングスパンの製造ラインの構築を計画しました。1階では原材料の搬入から保管、製造、包装、製品出荷までが直線で結ばれ、交差汚染の発生しにくい製造環境となっています。さらに衛生管理を徹底するために、工場内の清潔度区分をクリーンルーム・清潔・準清潔・一般区域と明確にしています。

虫の発生要因を極力減らすために、建物の外壁は雨樋のないラジアル加工の外壁としました。その他にも、室内からでもメンテナンスが容易な気密型防虫フィルター「T-Pest Guard」の設置、虫の誘引作用の低い紫外線防止フィルム付蛍光灯の使用や製造エリアに窓を設けないなど、異物混入の原因となる虫を徹底的に排除しています。


フードディフェンス対策としては、防犯カメラや電子錠を設置するとともに、1階の窓には視認性を確保しながら侵入防止機能を持たせたパンチングパネルを設置し、安全・安心への取り組みを強化しました。
ブランドイメージの発信
外壁は3色の外壁材をランダムに配色することで、一つ一つ手作業でつくられるスイーツが唯一無二であることを表現しています。夕日が当たる時間帯には建物全体がこんがりと焼きあがったスイーツであるかのように見えるなど、自然光による表情の変化を、時間帯や季節、見る角度によって楽しむことができます。


また、すべてのデザインに企業の“こだわり”が表現されていることが重要と考え、デザインはシュークリームやロールケーキを連想させるR形状をモチーフにし、建物や家具、サインをトータルにコーディネートしました。


設計本部 横溝 成人
総社工場は、交通量の多い通りから見下ろせる、住宅地に隣接した立地であるという点を意識した計画となっています。施設を目にした方々がスイーツの持つやさしいイメージを自然と感じ取れる様に外観デザインはラジアル折板を利用し、外壁と屋根を一体化したR形状としました。更に敷地内の車止めのサインや横断歩道の縁などの細部にまで曲線を採用しています。
また、外壁のデザインと一体化させた吸排気用のスリットの設置や、屋上の屋外機器を建物が包み込む配置とすることで、音対策に加え工場の外観から受ける圧迫感を軽減させる工夫もしています。敷地形状を活かしたシンプルでリニアな生産ライン構成は、将来の変更にもフレキシブルな対応が可能です。
お客様と営業・設計・施工・エンジが一体となり、各自がものづくりへのこだわりを持ちながら、チームワークでお客様の想いを実現させた総社工場が、地域の一員として愛され続け、たくさんの方々を笑顔にする施設となればと思います。
地域との共生を目指した施設計画
地域の皆様に“たのしさ”をお届けするため、前庭やイートインスペースを設けた、気軽に立ち寄れる直売店をロードサイドに設置しました。ここでは、地域の憩いの場として、地元岡山の食材を使用した限定スイーツをはじめ、多種多様なスイーツを楽しむことができます。建物を工場とは別棟とすることで、食品工場では虫の発生原因となるために通常は使用しない木材の使用が可能となり、地場木材を利用した温もりのある空間を実現させました。また直売店には気持ちよく日向ぼっこできる縁側付きの半屋外空間を備えています。



日本で最も晴天率の高い地理特性を活かし、自然光を積極的に利用しています。無窓のクリーンルームの環境で働く従業員のために、トップライトから二重の光膜天井を通し拡散させた自然光を取り入れた明るい食堂を設えました。
建物の配置を住宅地から離すことで騒音や建物の圧迫感を軽減させ、屋上の設備機器を建物で包み込むことで景観に配慮しています。


株式会社モンテール 代表取締役 鈴木 徹哉 様
当社の会社方針の1つである「やさしいのモアベター」とは、人が召し上がるものである以上「常に安全で安心できるものでなくてはならない」という考えに基づいています。私たちが、その「やさしいのモアベター」をつきつめていくために必要なこと、それは製造環境の整備を徹底して追求するということです。
大成建設様は、十年前に当社の美濃加茂工場を建設し、その工場は十年の間、モンテールを支える主要工場として稼働し続けています。その実績を評価するとともに、食品製造施設の実績が豊富で、専門知識をお持ちの方々がたくさんいらっしゃる大成建設様を「やさしいのモアベター」を追求するパートナーとして今回も選ばせて頂きました。
建築営業本部 大木 克也
このプロジェクトは、モンテール様のモアベター精神にならい、当社設計施工の美濃加茂工場より「さらによりよい工場をつくる」ことを目指してスタートしました。そのために、つくば工場や美濃加茂工場での問題点等を洗い出し、どのように改善していくかをモンテール様と数多くの議論を重ねながら進めていきました。
また、われわれも、モンテール様の「理想の工場づくり」のご要望に応えるため、当社やグループ会社の多くの部門が携わり、大成建設グループの総合力が発揮できたプロジェクトだと思っています。社内の打合せではモンテール様のお菓子を食べながら打合せすることも多く、さらに多くの社員がモンテールファンになったことと思います。
工事概要
発注者 | 株式会社モンテール |
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所在地 | 岡山県総社市中原88-8 |
竣工 | 2014年8月 |
延面積 | 16,084m2 |
URL |
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エンジニアリング本部 長嶋 達也
敷地がいまだはっきりしない時点から、モンテール様にとっての理想の工場とはなにか、ということを工場各部門の方たちと議論をしながら、計画を始めました。そのとき、皆さんが異口同音にあげたのが平屋の工場がいい、ということでした。それとIラインの製造の流れ。最終的には従業員の方たちの駐車場確保と将来増築を考え、2階建てになりましたが、製造ラインの組み方には、当初の議論の結果が活かされています。
まず、長方形の敷地形状を活かし、入荷から出荷まで、製造のラインを一直線に組むようにしました。しかも、生産量の多い長い製造ラインを1階に、少ないラインを2階に並べました。これにより最も多く生産される製品は、1階で作られ最短で出荷場に運びこむことができるようになりました。また、原料資材の移動量も抑えられ、生産性の向上に寄与しています。新工場の方から「これで、理想の製造環境が整った」というお言葉が印象的でした。