ローコストオペレーションの実現を図りたい。

高品質な医薬品の製造を大前提とした新工場を建設したい。
お困りごと
ジェネリック医薬品の需要増加に対応するため、高品質な医薬品の製造を大前提とした、ローコストオペレーションの実現を図りたいが、どのようなプランニングが考えられるだろうか。
成功事例
1946年の創立以来、半世紀以上にわたり医療用医薬品や一般用医薬品の開発・製造・販売を手掛けている小林化工株式会社様。
患者様独自の発想と工夫でつくり出す「改良型ジェネリック医薬品(ユースフルジェネリック)」は、先発医薬品に新たな付加価値を備えた製品として業界内外で高く評価・認知されています。
小林化工様の主力工場である矢地工場(福井県あわら市/2005年、大成建設 設計・施工により増設)の対面の敷地に、新たに清間第一工場が2011年6月に大成建設の設計・施工で完成しました。

今回のプロジェクトにおいて小林化工様から提示された
- 「大量生産への対応」
- 「省力化によるランニングコストの抑制」
- 「交叉汚染防止・封じ込め対応」
という3つのコンセプトに基づき、当社独自の「3次元フロービンシステム」を採用した人と物の動線が交差しないレイアウトを提案。
フレキシビリティ・高品質・高効率など様々なメリットを実現するソリューションが評価され、数社のコンペの結果、当社に発注いただきました。
ソリューション
3つのコンセプトに適う、大成建設のソリューション
- 中間製品の運用容器にフロービンを使用し、スタッカークレーンと組み合わせた「3次元フロービンシステム」を採用。
製造エリア間を縦横・上下方向に移動しフロービンを自動搬送することができ、
- 搬送専用通路の設置により、人と物の動線を完全に分離
- 短縮した搬送リードタイムで大容量を運搬
などを実現


- 生産設備と搬送設備を組み合わせ、品質管理、製造記録、スケジュール管理、搬送管理、生産設備ログなどをコンピューターで一元管理する「製造管理システム(MES)」(Manufacturing Execution System)を採用。
今回のプロジェクトでは3次元フロービンシステムとの連携を図り、IDタグやバーコードを利用して全てのフロービンのID管理を推進。
各フロービンの搬送履歴や洗浄履歴、生産工程などのデータを一元管理することで、
- 省力化・作業効率の向上
- ヒューマンエラー交叉汚染の防止
などを実現。
- 錠剤検査機での錠剤投入時の落下速度をコントロールし、錠剤の割れや欠けを防止する「バルーン式緩衝シュート」を採用。GMPに対応した使い捨てポリエチレンチューブを使用するため、
- クロスコンタミのリスク低減
- ランニングコストの抑制
- 品目切替が短時間に行え、作業を簡易化
などを実現。

- クロスコンタミネーションを防止し、GMPに準拠したクリーンな環境を構築するため、
- クリーン廊下や製造室、搬送通路などの陽圧管理を徹底し、空調気流を一方向にコントロール
- 製造設備における適切な封じ込め対応を実施
- 製造室内に設置する設備機器をできるだけ壁に埋め込み、清掃性をアップ
などを実現。
- 将来の拡張性を考慮したレイアウトを計画。生産量の増加や用途変更に柔軟に対応するため、
- ワンルーム・ワンマシーンを原則とし、製造室をモジュール化
- 製造室エリアに未実装スペースを確保
- 自動倉庫の増設スペースを確保
などを実現。
これにより、拡張工事の際に他の製造室に影響を与えることなくスムーズに行うことが可能。
大成建設担当者より
工事概要
発注者 | 小林化工株式会社 |
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所在地 | 福井県あわら市清間19-1 |
竣工 | 2011年6月 |
延面積 | 9,739.8㎡ |
URL |
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エンジニアリング本部 医薬品施設グループ 榎本 大樹
小林化工様の求められる「品質重視」「ローコストオペレーション」をいかに実現するかということを追求しながら、GMPを基準に新工場のプランニングを進めました。製造エリアや包装エリアのゾーニング、人や物の動線などを考慮し、フレキシビリティや高効率性、クロスコンタミネーションの防止などを両立するためのレイアウトを計画しました。また、3次元フロービンシステムとMESを組み合わせるなど様々な技術提案を行い、小林化工様からは「優れた提案を積極的に行ってくれたことや、トータルエンジニアリングで取り組んでもらえることに魅力を感じた」とご好評いただきました。