救心製薬株式会社

敷地内に分散している工場と研究所を
郊外へ移転統合したい。

救心製薬株式会社

お困りごと

東京都杉並区の3ヵ所に分散する工場・研究所について、

  1. 1機能が分散しており業務効率が低い
  2. 2建物の老朽化が進んでいる
  3. 3住宅密集地にある敷地いっぱいに建物が建っており、手狭である

という問題を抱えている。
これらを解決するために、郊外に新工場を建設して工場・研究所を移転統合し、各機能の集約化を図りたい。

成功事例

2013年2月に創業100周年を迎えられた救心製薬株式会社様。
「救病済生」を理想に掲げ「世のため 人のため」を社是として、生薬を中心とした医薬品を開発、製造しておられます。なかでも、生薬強心剤「救心」は、国内のみならず海外においても高く評価されています。

今後も安全・安心なOTC医薬品を継続してお客様に提供していくため、都内に分散している製造・研究拠点を再整備し生産力を強化することを目的に、既存の3工場を山梨県韮崎市上ノ山・穂坂地区の工業団地へ移転統合することになりました。
2011年11月に大成建設の設計・施工にて山梨工場が完成しました。

インタビュー

救心製薬株式会社  常務取締役 生産部門長 山梨工場 工場長 池上 進 様

今回の移転統合計画は、当社の創業100周年事業の一環であり、非常に重要な一大プロジェクトでした。パートナーを選定する段階では、多くの医薬品工場を手掛けており豊富な実績をもつ大成建設にも声をかけ、数社によるコンペを行いました。

大成建設の提案は、高度な医薬品製造施設づくりに必要な知見と考え方に基づいた高レベルな内容であったことと、当プロジェクトに対する強い熱意が感じられたことを評価いたしました。
施工についても、東日本大震災の影響下において7.5ヶ月という非常に厳しい工期にも関わらず、休日を返上して安全に工事を進行し、工期を厳守して新工場を完成いただいたことに大変感謝しています。

救心製薬株式会社  常務取締役 生産部門長 山梨工場 工場長 池上 進 様

ソリューション

4つの異なる機能を明快にゾーニング

新工場の計画では、製剤・倉庫・事務・品質管理の4つの異なる機能を集約し、効率よく働ける環境を構築することが求められました。それぞれの作業工程や、それに伴う人・物の動線、各室に必要な清浄度などを考慮し、GMPに準拠するとともに使い勝手の良い明快なゾーニングを行いました。
製剤・事務・品質管理エリアを集約した「製造棟」と、原材料の入荷、製品の保管・出荷機能をもつ「倉庫棟」の2棟が向き合う形で新工場の全体を構成し、2棟の間の囲まれたスペースにはトラックヤードを設けました。

航空写真
航空写真
2棟が向かい合う全体構成
2棟が向かい合う全体構成

インタビュー

設計本部建築設計第五部 出口 亮

計画地の気候特性である、冬期に北北西から吹く季節風「八ヶ岳おろし」に配慮して、トラックヤードの配置を考えました。来客と従業員のエントランスの位置も季節風の影響を受けないよう、南側に設けています。また、原料の入荷から保管、製剤、梱包、製品の出荷までシンプルな動線となるよう、入荷と出荷でトラックヤードを区別しました。入出荷の動線を分けることで交差汚染防止にも有効な構成としています。

設計本部建築設計第五部 出口 亮

GMPに準拠した製剤エリア

GMPに適合したゾーニングと動線計画を実現するため、例えば、秤量、造粒、製丸、充填、包装などの工程ごとにグルーピングし、作業内容に応じて清浄度を設定しました。また、製剤室や前室、清浄廊下などの差圧を管理して気流をコントロールすることで異物混入防止を図りました。

  • クリーンルーム(CL100,000)を構築し、清浄度を厳しく管理しています。クリーンルームの周りを見学者廊下で囲い外壁から距離を置くことで、気密性・防虫性を向上させました。
  • 製造する品目の剤形ごとに異なる作業フローに沿って各室を配置し、動線を短縮することで作業効率を向上させました。原料投入から製剤、梱包までをワンウェイで行えるスムーズな動線を実現しています。また、一部の工程を自動ライン化することで、省力化・生産効率アップを図りました。
工程ごとのグルーピングマップ イメージ図(※実際の工場内部とは異なります)
工程ごとのグルーピングマップ イメージ図
(※実際の工場内部とは異なります)

「経済性に優れたシンプルさ」と「周辺環境との調和」を満たすデザイン

製造棟は、平屋建ての製剤エリアと、2フロアで構成する事務・品質管理エリアという階数・階高・機能の異なるエリアで構成されることを鑑み、その高さの違いを利用してひとつの大きな勾配屋根の中に納める合理的な設計としました。

製剤棟 断面イメージ
製剤棟 断面イメージ

これにより、勾配屋根を採用しないプランに比べ、建物全体を省スペース化することができる経済性に優れたシンプルなデザインを実現しました。
また、大きな片流れの勾配屋根は、周辺の山並みに呼応した山の稜線を思わせるスカイラインを形成し、周囲の雄大で美しい景観に溶け込みます。

インタビュー

設計本部建築設計第六部 宮崎 伊佐央

建設地は、南に富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳を望み、周辺には果樹園や畑が広がる自然豊かな場所です。新工場で働く方々が、日常的にこの雄大な景観に触れ、この地と新しい工場に対して愛着と安らぎを感じられるよう意図して計画しました。
正門を入ると眼前に雄大な南アルプスの景色が広がり、従業員駐車場からは八ヶ岳を望むことができる配置計画としました。また、事務品管エリアはどこにいても富士山を眺められるよう水平連続窓を設け、食堂は眺望の良い2階に配置しています。

設計本部建築設計第六部 宮崎 伊佐央
エントランス
エントランス

工事概要

発注者 救心製薬株式会社
所在地 山梨県韮崎市上ノ山3180
竣工 2011年11月
延面積 9,611.60㎡
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関連情報

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