埼玉第一製薬株式会社(現 ニプロファーマ株式会社) 春日部工場

生産ラインを止めずに工場を再構築できました。

埼玉第一製薬株式会社(現 ニプロファーマ株式会社) 春日部工場

工場再構築のきっかけ

埼玉第一製薬(株)は成型パップ剤を日本で初めて商品化した渡辺薬品工業(株)を前身としています。
1967年の操業開始以来、業容の拡大に伴って敷地の買い増し、増築等を重ねてきましたが、施設全体が老朽化し、GMP(適正製造基準)に対応困難になってきたため1989年全面的に改築することとなりました。

その際、移転も含めて様々な検討がなされましたが、従業員の雇用問題もあり、最終的に現有地での改築ということになりました。
既に敷地いっぱいに施設利用されている上、生産機能はストップできないという難しい条件が重なり、短工期で新工場を立ち上げることが必須となりました。

管理厚生棟(外観)
管理厚生棟(外観)
管理厚生棟(玄関)
管理厚生棟(玄関)

工事はこう進められた!

基本構想の段階からお客様と一体になって計画、建設を進めさせていただきました。

フル稼働している全施設のうち一番機能を移し易い倉庫棟に着目。
倉庫の中味を近隣に借りた倉庫に移し、この倉庫棟を解体



その跡地に新工場棟(鉄骨7階建)を建設し、既存工場の生産ラインを移設



既存工場棟を解体



その跡地に管理厚生棟・新倉庫棟を建設し、新工場棟と渡り廊下で接続
(これにより作業衣に着替後は外部を通らず工場内に入ることができる)



外構を整備し、全体が完成

生産能力や生産性が向上し、製造環境もGMPに準拠できる施設となりました。その後、隣接地を購入・増築し、新たな施設(主に研究機能)をさらに充実させて現在に至っています。

研究室
研究室
工場内
工場内

新工場を整備する際のポイント

  • GMPに準拠した高度な製造環境の整備
  • 生産を止めずに新工場を建設するという「移動しながら工場再構築」がテーマ
  • 限られた敷地を有効に利用するため、生産ラインの立体化など生産設備の抜本的見直し
  • 新開発の生産機械によりスペースの有効活用と製品精度・生産速度向上と安定生産を実現
  • 既存生産機械の活用も図り、綿密な移動計画でスムーズな生産移行
埼玉第一製薬株式会社(現 ニプロファーマ株式会社) 理事 技術部長 楠 彰彦 様

埼玉第一製薬株式会社(現 ニプロファーマ株式会社) 理事 技術部長 楠 彰彦 様

パップ剤は埼玉第一製薬からという自信をもっています。
敷地は狭いのかもしれませんが、研究開発に支障があるわけではなく環境は整っていると考えています。将来的には、さらに市場に求められる商品を生み出し、大きな工場をつくる機会に立ち会いたいです。

大成建設 エンジニアリング本部 野口 幸廣

大成建設 エンジニアリング本部 野口 幸廣

第一製薬様とは、30年ほどお付き合いさせて頂いており、埼玉第一製薬様とは1988年竣工の羽生の新工場以来のお付合いです。
大成建設としてパップ剤という特殊製品の製造ラインに携わったのは1990年が初めての経験でした。

埼玉第一製薬の前身であります渡辺薬品工業の技術を学びながら、どうしたら高効率で安定生産可能な自動化一貫ラインを構築できるかを、埼玉第一製薬様の担当者の方と一緒になって考え、装置開発したことが思い出されます。特に塗膏装置については、多段塗膏システムの開発、実用化により、塗膏精度が大幅に向上し、製品の品質を向上(不良率軽減)することが出来ました。この「多段塗膏システム」は埼玉第一製薬様と当社との初めての共同特許出願案件でした。

生産設備の構成にあたっては、敷地上の制約から、工場棟の高層化(7階)が余儀なくされ、生産設備は製造プロセスに沿って上から下へ流れるバーチカルフロー方式を採用し、調製練合~梱包工程の一貫自動化ラインを構築いたしました。今では珍しくありませんが、当時の貼付剤業界では画期的な生産方式であり、代表的な都市型高層工場の出現であったといえます。

大成建設 設計本部 寒河江 淳二

大成建設 設計本部 寒河江 淳二

短工期であったため詳細設計は現場で行い、タイムリーに現場に伝えるという綱渡り状態でスタートしたプロジェクトでした。敷地の関係から工場棟と管理厚生棟が分かれた建物となり“渡り廊下”でつなぐこととなりました。“渡り廊下”は、着替えなどを行う空間から製造エリアというクリーンルームを持つ環境へ意識を変える心構えができる空間として機能しています。この“渡り廊下”の発想は以後の工場設計の提案に生かされる経験にもなりました。

またデザイン的にもこの“渡り廊下”が有効に働いています。正面ゲートの正面の位置に“渡り廊下”を浮かすことによって施設全体のデザインのポイントとなっています。

私は埼玉第一製薬様や第一製薬様の工場の設計に携わってきましたが、お客様の効率を考えた設計が一番であり、機能性を持たせた上で、デザイン的にも横に印象的なラインを入れるという一貫性を持たせています。

工事概要

発注者 埼玉第一製薬株式会社(現 ニプロファーマ株式会社)
所在地 埼玉県春日部市南栄町8-1
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