データセンター特集

クラウド時代に求められる
次世代データセンターのあり方

クラウド時代に求められる次世代データセンターのあり方

2010年7月22日開催 Next Generation Data Center2010の講演より

IDGインタラクティブ主催のNext Generation Data Center2010が2010年7月22日、23日に開催されました。
プログラムの中で「クラウド時代に求められる次世代データセンターのあり方」として、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕様と大成建設株式会社 IT施設計画室長 諏訪浩一による共同セミナーが開催され、会場は補助席が用意されるほど満席となり関心の高さがうかがえました。

データセンターの建築・設備の現状について

大成建設株式会社 IT施設計画室長 諏訪浩一

米国最先端データセンターの建築・設備の現状を理解するために2009年12月アメリカ国内の数ヶ所(サクラメント、ラスベガスなど)の最先端データセンターを視察してきました。

サクラメントのデータセンターではチラー(冷凍機)を年間25%しか稼動せず外気導入によりPUE=1.12を目指していました。ブルームフィールドのデータセンターでは、日本で導入事例が少ないフリーアクセスなしの床直置きとした天井配線の吹き下ろし空調を採用していました。またサンタクララではコンテナ型データセンターも視察しましたが、最近では外気冷房システムを組み込んだコンテナモジュールも作られているようです。

Next Generation Data Center2010講演の様子

現状のアメリカデータセンターのトレンドとしては、

  • 外気直接冷房の実用化
  • 電気密度の高密度実装の一般化
  • ホットアイルの囲い込み など

従来型のデータセンターから建築・設備の考え方が変化してきている現状を理解できました。アメリカの事例などを参考にしながら今後、日本スタイルのデータセンターについてよりよいものを提案していければと考えています。

日本とアメリカのデータセンターの比較表

引き続き、クラウドコンピューティングに最適化した郊外型大規模データセンターを北海道石狩市に建設することを決定された さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕様がお話されました。

さくらインターネット石狩データセンター外観図(1期棟:合計500ラック)
外観図(1期棟:合計500ラック)

次世代型データセンターについて

さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕様

現在日本のデータセンターはハウジング型がメインとなっているためアクセスが良い都心部の立地を求められ、その結果、地価コストが高く階層的な建物構造がほとんどとなっています。

アメリカではマイクロソフト、アップル、グーグルが自らデータセンターを持ちアクセス性が問われない大規模郊外型が注目されています。

Next Generation Data Center2010講演の様子

IDC Japanプレスリリース(2010年5月)によれば、2009年から2014年までの国内サーバー市場の成長率は-2.9%とマイナス成長と予測されていますが、国内データセンターサービス市場の成長率は+12.8%の二桁成長と予測されています。そして国内クラウドサービス市場は+35.6%とクラウド型データセンターへの需要が飛躍的に成長すると予測されています。このことからもデータセンターは「所有」から「利用」にシフトしていくと考えられています。

従来のデータセンターに求められていたのは「地盤の固さ」、「震災、災害の少なさ」、「通信環境の良さ 東京であれば大手町のIXに近いなどアクセスの良さ」、「セキュリティの高さ」などの点です。我々の考える次世代のデータセンターでは「経済性」「拡張性」「環境配慮」の三要素が重要だと考えています。

この度、さくらインターネットはクラウドコンピューティングに最適化した郊外型大規模データセンターを北海道石狩市に建設することに決定しました。北海道石狩市を選定した理由は、土地の広さを活かした拡張性、外気冷房が可能な寒冷な気候、税制優遇の手厚さです。

広大な敷地を活かし、スケールメリットと柔軟性の高いデータセンターを実現し、寒冷な外気を活用し空調コストを下げ、PUEは1.0Xまで下げることができるのではないかと期待しています。
石狩データセンターのコストは、東京23区内でデータセンター対応ビルを賃貸した場合の半分以下のコストになり、空調コストも徹底的に削減できます。
また、現在は検討段階ですが、IT機器から排出される熱を事務室の暖房などに活用していくことや、石狩は風が強いので風力発電や雪氷といった自然エネルギーの導入の検討、コンテナ型データセンターへの対応 など環境に配慮した様々な取組みにチャレンジしたいと考えています。

さくらインターネット石狩データセンター全体図(最終8棟:合計4,000ラック)
全体図(最終8棟:合計4,000ラック)

コストが高いと言われる日本のデータセンターですが、石狩市に誕生する郊外型データセンターにより日本のデータセンターの優位性を高め、日本のITコストに世界標準という価格競争力を持たせていくことが我々の使命だと考えています。
我々以外にも石狩市でデータセンターなどを運営する事業者が増え、関連の産業も増えれば石狩市が日本のデータセンターバレーになるかもしれません。

石狩データセンター完成に向けて

2011年秋に北海道石狩市に誕生する「さくらインターネット 石狩データセンター」は大成建設にて建設することになりました。
大成建設はさくらインターネット様の期待に応えられるように2011年秋の完成を目指して計画を進めていきます。
石狩データセンターは今までにない全く新しいコンセプトで作られるデータセンターです。この様なプロジェクトに当社が設計者および施工者として関われることは、何より喜ばしく、後世に日本のデータセンターの転換期となった施設と語り継がれることを期待し、全社を挙げて全力でプロジェクトを推進して行きます。

関連情報

本ウェブサイトでは、お客様の利便性の向上及びサービスの品質維持・向上を目的として、クッキーを使用しています。
本ウェブサイトの閲覧を続行した場合は、クッキーの使用に同意したものとします。詳細につきましては、本ウェブサイトのクッキーポリシーをご確認ください。