学校法人武蔵野大学 有明キャンパス

災害に強く、人と環境に配慮したキャンパスをつくりたい。

学校法人武蔵野大学 有明キャンパス

「地域社会とつながる」、「安心・安全を備える」、「人と環境にやさしい」

お困りごと

総合大学として規模を拡大し、より質の高い教育を提供するため、臨海副都心の有明地区に新たにキャンパスを建設する。
産官学連携をはかりやすい立地を活かし、学生が近隣企業や研究所、地域の人々と協働して学べる環境を築きたい。また、災害に強く、人と環境に配慮したキャンパスをつくりたい。

成功事例

学校法人武蔵野大学様が運営する武蔵野大学は、2014年に創立90周年を迎えられます。 その前身である武蔵野女子学院は、国際的仏教学者として知られる高楠順次郎先生により1924年に創設されました。

武蔵野大学有明キャンパス外観
武蔵野大学有明キャンパス外観

女子単科大学から男女共学の総合大学へと急成長する過程において、今後さらに規模を拡大し、高度な教育を提供していくため、新たにキャンパスを設立することになりました。

有明キャンパス

学校法人武蔵野大学 企画部長 落合 恒 様

2012年4月にオープンした本学の有明キャンパスは、臨海副都心における初の総合大学として完成しました。大成建設とは、有明キャンパスの構想がスタートする以前から「もしキャンパスを新設する場合、どのような施設計画が考えられるか」など意見交換をさせていただいており、教育施設づくりに対する豊富な知見があることを認識していました。

大成建設は、「地域社会とつながる」「安心・安全を備える」「人と環境にやさしい」という3つのコンセプトを反映した基本設計(株式会社日建設計が担当)をもとに、そのグランドデザインをさらに進化させていく形で実施設計を行ってくださいました。そして、教育施設に求められる機能や安全性をデザインに組み込むなど、建築・構造・設備設計が協働して計画したプランを、施工部門が正確に具現化してくれています。
各部門が連携することで生まれる総合力を十分に発揮し、有明キャンパスを見事に実現していただきました。

学校法人武蔵野大学 企画部長 落合 恒 様

ソリューション

地域社会とつながる“開かれたキャンパス”

武蔵野大学様のブランドステートメントである「Linking Thinking(リンキング シンキング)」には、「社会とのつながりの中で、考え方と生き方などの関係性を理解してネットワーク力を習得する」という思いが込められています。有明キャンパスは、近隣企業や研究所の関係者だけでなく、一般の方々にも開放する“開かれたキャンパス”として計画されました。

周囲のアクセス網を活かしてキャンパスへのアプローチを設けました。有明地域とお台場地域をつなぐ2階レベルのプロムナード沿いに正門をつくり、一般の方々も利用できるカフェや大教室を配置しました。これによりメインストリートから学内へ人々が行き交いやすい動線を確保しています。

キャンパスマップ

キャンパスマップ

また、カフェや大教室、フードコート、図書館など地域との連携・協働に利用される建物の機能を、キャンパス内にある各校舎(1号館~3号館)の低層部に集約し、2階のデッキにより接続しました。デッキの回廊を設けることで正門と各校舎間のアクセスが容易になり、学生や学外利用者の利便性を高めました。

2階デッキにて撮影(右手に2号館)
2階デッキにて撮影(右手に2号館)

“まちづくりの拠点”

大成建設 設計本部建築設計第五部設計室 西尾 吉貴

有明キャンパスは、人や情報が集まる場として地域社会とつながる“まちづくりの拠点”となるよう意図して設計されています。人々が集まりやすいキャンパスづくりを目指し、「人々が親しみを感じる建物とはどのようなものか」という視点でデザインにもこだわりました。例えば、デッキや低層部の地域連携施設を包み込むように設えたアーチ空間には、重厚さをもちつつも温かみを感じられるデザインを採用し、ヒューマンスケールな仕上がりとしています。

大成建設 設計本部建築設計第五部設計室 西尾 吉貴

安心・安全を備える“災害に強いキャンパス”

大地震が起きても人命を確保し、教育施設としての機能を維持するため、教室や研究室、教員室などキャンパスの中枢機能を集約している1号館(地上13階建)に免震構造を採用しました。地盤の支持層(地下40m)には基礎杭を137本打ち込み、地震時の液状化に対応する構造としています。一方、2号館(地上5階建)と3号館(地上3階建)は1号館に比べて低層で建物のボリュームが小さいことから免震構造とするのではなく、壁や柱、梁などの構造体を耐震化して新耐震基準にかなう建物づくりを行いました。

免震装置
免震装置

また有明キャンパスのインフラは、電力、地域冷暖房、ガス、ごみ収集管など地域のライフラインをすべて収容する共同溝から引き込んでいます。共同溝は臨海副都心の地下空間に整備されており、大地震にも耐えられる強度を有しています。

教育施設

大成建設 設計本部構造設計第三部設計室 井上 慶一郎

教育施設、ことに大学は、収容人数や用途の異なる各室の集合体で一つの校舎が成り立つという特徴を持ちます。用途別に求められる室内の機能や、利用する人の利便性にあわせて各室や各階のレイアウトが異なるため、その点を考慮しながら構造設計を建物に反映し、なおかつ建築設計と融合させることが重要です。

大成建設 設計本部構造設計第三部設計室 井上 慶一郎
1号館

有明キャンパスでは、例えば1号館に集約された上層の研究室と下層の講義室とでは柱を設ける位置(柱割)が異なるため、柱位置の切り替え部分に軸力伝達壁を採用し、建物の荷重をスムーズに伝えるようにしました。
また高層建物の1号館を免震構造とすることで、柱・梁をスリム化することができました。これにより、2階レベルに設えたアーチとそれに合わせた列柱形式のファサードを2号館や3号館と同じボリューム感で統一することが可能となり、建物の構造に係わる要素と外観デザインが両立しています。

学校法人武蔵野大学 企画部長 落合 恒 様

大成建設は「建物の安全性とデザインを両立する」という視点で、一つ一つの校舎のあり方とキャンパス全体のあり方を追求してくださいました。東日本大震災時はどの校舎もビクともせず、「有明キャンパスは安全です」と自信を持っていう事ができます。私たち職員の安心感もかなり高まりました。

省資源・省エネルギーにつとめる“人と環境にやさしいキャンパス”

先進的な都市インフラを活かして地域の環境配慮計画と連携する取り組みを実現しました。
具体的には、

  • 地域冷暖房、下水再生水、ごみ収集システムを利用するなど地域インフラと連携した合理的なエネルギー計画とする
  • 用途・方位により、人感センサー、昼光センサーを採用した照明制御や高効率照明の採用により電力消費を低減する
  • ソーラーパネルや風力発電を備え、自然エネルギーを活用する
  • 屋上緑化、ビオトープの設置によりヒートアイランド現象を抑制する
  • 断熱ガラスの採用、格子状の庇やライトシェルフの設置により外部からの熱負荷を低減しつつ、自然採光を活用する

など、省資源・省エネルギーにつとめることで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

風力発電システムを備え、自然エネルギーを活用
風力発電システムを備え、自然エネルギーを活用
環境学科の学生の手で整備されたビオトープ
環境学科の学生の手で整備された
ビオトープ
キャンパス内のごみを集積するごみ処理設備は共同溝に接続されている
キャンパス内のごみを集積する
ごみ処理設備は共同溝に接続されている
屋上緑化の断熱効果により、ヒートアイランド現象を抑制
屋上緑化の断熱効果により、
ヒートアイランド現象を抑制

工事概要

発注者 学校法人武蔵野大学
所在地 東京都江東区有明三丁目3番3号
竣工 2012年1月
延面積 26,157.65㎡
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関連情報

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