下方メンテナンスFFU(T-UMCシステム)でコスト削減

お困りごと
事業拡大に伴い工場を新設するにあたり、コストを削減しつつ将来の生産装置の入れ替えを考えフレキシビリティを確保し、クリーンルーム全体を清浄度クラス1,000としたい。
成功事例
大成建設は、お客様の要望を伺い打ち合わせを重ねた結果、高い清浄度を必要とするエリアを全体面積の約15%まで限定することを提案しました。
フレキシビリティを確保するために、クリーンルーム全体をクラス10,000として空調システムを設定しました。
高い清浄度を必要とする生産装置を設置する部分には、天井からクリーンブースを吊り下げる方式を採用、クラス1,000の環境を構築することでコストと機能の両立を実現しました。

ソリューション
ご提案したクリーンブースは建築的に作った高清浄度ブースで、FFUを載せたアルミシステム天井をクリーンルーム天井から吊り下げ、周囲の作業エリアとはシステム天井から垂らしたビニールカーテンで仕切ったものです。
クリーンブースの中はFFUから清浄空気を吹き出し、ビニールカーテンの下端からクリーンブースの外、つまりクラス10,000のクリーンルーム部分へ流すシステムとし、ブース内はクラス1,000となっています。このシステムを実現するFFU(ファンフィルターユニット)が、大成建設の開発した下方メンテナンスFFU(T-UMCシステム)です。
下方メンテナンスFFU(T-UMCシステム) ※特許出願中
受け枠の上にフィルター、更にその上にファンユニットが載っています。従来と同じくファンユニットがフィルターを押さえつけ、気密性を確保しています。フィルター交換時にファンユニットを持ちあげ、フィルターを支えている受け枠を取り外すことで、フィルターを室内側から取り外すことができる仕組みになっています。
特徴
- フィルター交換はもちろんのこと、ファンユニットのメンテナンスを全てクリーンルーム側(下側)からすることが可能。
- 気密性の面でも従来のシステム同様で、フィルターを通らない空気が室内に入らない。
- 従来天井裏から行ってきたFFUのメンテナンスを室内側から行なえるため、FFU裏側スペース(FFU設置エリアの天井裏スペース)が従来型FFUでは2.0m程度必要であるのに対し、70cmで設置ですることが可能。


この下方メンテFFU(T-UMCシステム)を利用したクリーンブースを採用することで、本プロジェクトに関して、以下の成果を実現できました。
- クリーンルームの天井高3.5mに対し、クリーンブース内の天井高も2.8mを確保することができ、高い清浄度(クラス1000)と快適な作業環境を確保。
- 換気回数を30%以上減らすことができ、イニシャルコストの削減はもちろん、生産開始後のランニングコストの削減も実現。
- 通常クリーンルームの局所化を行う場合、損なわれがちなフレキシビリティを、下方メンテナンスFFU(T-UMCシステム)の採用により相反する課題を解決。
大成建設担当者より
工事概要
発注者 | B社 |
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所在地 | 大阪府 |
竣工 | 2005年4月 |
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大成建設 設計本部1郡統括部グループ エンジニア 岡部 裕之
クリーンルーム全体をクラス1,000としたいというお客様のご要望に対し、機能・性能とコストの両面を考慮して当社開発製品である下方メンテFFUを組み合わせたクリーンルームシステムを提案しました。
フレキシビリティを確保するために在来天井よりアルミシステム天井を吊り下げるシステムとしたため、吊り材の納まりなど天井面の納まりには苦労しました。
ダクトスペースが不要なため生産スペースを最大限にとることができたこともお客様の評価を得られたポイントだと思います。