株式会社高純度化学研究所

生産ラインを止めずに工場を再構築

株式会社高純度化学研究所

お困りごと

埼玉県内の3ヶ所に工場があるが、生産体制を拡大・強化するために順次、機能を整理・統合していきたい。
まずは、生産ラインを止めずに本社敷地内の限られたスペースを最大限に活用して製造施設と研究施設を兼ね備えた新工場を建設したい。

成功事例

株式会社高純度化学研究所様は、セラミックス、金属合金、有機金属化合物等の材料を始めスパッタリング(PVD)材、コート剤などの薄膜材料などを扱う素材メーカーです。
様々な電子部品の材料を製造するために多様な製造環境を備えた製造室、実験室が必要であり、敷地内に複数の棟が点在している状態でした。

今回のプロジェクトでは、本社工場の敷地内にある3棟(4号棟~6号棟)と川島工場の機能を統合して本社工場の敷地内に新設する新工場(新4号棟)に研究・開発施設と生産拠点を集約する計画を提案しました。全生産ラインを止めることなく新工場を建設し、移転と生産を同時に行いながら工場全体を再構築することに成功しました。

新4号棟 正面入り口側
新4号棟 正面入り口側

ソリューション

工場再構築のローリングプラン

  1. 1本社工場の敷地内にある既存工場(1~3号棟)に、新工場の建設予定地に建っていた既存工場(5号棟、6号棟)の機能を移転し既存工場の2棟を解体。(2008年4~5月/別途工事)
  2. 2新4号棟を新設。(2009年4月末 竣工/当社設計・施工)
  3. 3新4号棟に既存棟(1~4号棟)から生産設備機器などを移設し、旧4号棟を解体。(2009年7~8月/当社施工)
  4. 4旧4号棟解体後、付属建屋・外構工事を実施。川島工場から生産設備機器を移設。(2009年11月末 竣工/当社施工)

生産を継続させながら狭小エリアにて安全で効率的なローリングプランを進めるため、大成建設の建設力とトータルエンジニアリング力を併せた総合力が最大限に発揮されました。

新工場(新4号棟)の建設計画

生産力アップ

  • 地上5階建ての新4号棟は、1階~3階に製造室と実験室を集中させ、4階と5階に包装室・会議室・食堂を配置。PVD材料や無機材料などを製造するエリア面積は既存工場に比べて約1.5倍に拡大し、生産体制の強化を実現。
  • 製造エリアの各室を廊下から見学できるように内窓を設置し、視察者の受け入れ体制を強化。
2階 見学通路
2階 見学通路

高効率化

  • 各室のエリア分けとゾーニング計画では間仕切りをなるべく設けず、大部屋において別々の作業が行えるよう工夫。例えば、荷重対策が必要なスペースと必要でないスペースをワンルームに集約するため、2種類の床材を接合して施工。作業ごとに小部屋を作る必要がなくなり、大幅な建設コストの削除を実現。
1階 焼成室
1階 焼成室
4階 BDエリア
4階 BDエリア
  • 既存の生産設備機器をほぼ全て移設するにあたり、効率的なレイアウト計画に基づいて安全でムダの無い動線計画を実現。
  • 2工場の統合により両工場を材料が行き来することがなくなるため、梱包作業などのコストダウンやリードタイムの短縮が図れ、また在庫管理や出荷の段取りの効率化を実現。

作業環境の向上

  • 風量計測を行い、粉塵対策を考慮するなど各エリアの製造環境・執務環境の向上を目指し、安全性も確保。
  • 5階の食堂からは隣の公園の木々を眺めることができ、リフレッシュできる空間を配置。
5階 食堂
5階 食堂

最先端をイメージさせるデザイン

  • 特殊な技術分野で活躍するハイテクさとシャープさを兼ね備えた企業イメージを新工場の外観デザインに反映。
  • 屋外設備ゾーンを隠しつつ、デザイン性を外観に持たせるため、パンチングメタルや目隠し壁を有効に配置。
  • 建物に抑揚をつけることでよりシャープな外観を実現。




パンチングメタルや目隠し壁で工夫(赤色部分)を施した屋外設備ゾーン
パンチングメタルや目隠し壁で工夫(赤色部分)を施した屋外設備ゾーン

お客様の声

株式会社高純度化学研究所 生産管理部 生産管理課 菊永 敏充 様

株式会社高純度化学研究所
生産管理部 生産管理課 菊永 敏充 様

新工場が本格的に稼動して約1ヶ月が経ちましたが、新工場は使い勝手も良く、社員同士のコミュニケーションの向上やモチベーションアップにも貢献していると思います。

我々は電子デバイス材料を製造するプロですが、建設に関しては素人です。製造室の湿度や風量のコントロール、静電気対策など大成建設さんは我々の疑問や悩み事に対して誠実に対応し、幾つものアイディアを提案してくださいました。完成するまで、そして稼動するまでは多少の不安もありましたが、今は大成建設さんにお願いして本当に良かったと思います。
今後もこの繋がりを大切にさせていただき、困った時にはまたアドバイスをお願いしたいと思います。

大成建設担当者より

作業所長 五條 俊

作業所長 五條 俊

今回のプロジェクトは、隣地や既存棟と接する制限された施工スペースの中で安全かつ効率的に作業を進めていく必要がありました。また、特殊な素材を作っていることもあり、素材を加工する重機も特殊で、重機を設置するためのピットの大きさ、深さともに大小様々で建設も大変でしたが、今までに蓄積された施工技術のノウハウを様々に発揮することができました。

高純度化学研究所様の十数名から成るプロジェクトチームの方々との連携が良く取れており、当社の社員の働きぶりについて「いつも誠実で的確に対応してくれる。」と評価していただけたことを大変嬉しく思います。プロジェクトチームの方々が新工場を「我が家」のように大切に思いながら真剣に取り組まれていた姿が印象に残っています。

本社設計建築グループ 田中 幸嗣

本社設計建築グループ 田中 幸嗣

大成建設をパートナーとして選んでいただいたあと、設計部門とエンジニアリング部門が中心となって高純度化学研究所様のニーズをさらに引き出し、整理しながら新工場計画の構想について詳細を決定していきました。納得がいくまで吟味するという担当者の方々の徹底した姿勢に対して、我々も真剣に向き合いプラスアルファの提案をさせていただきました。
“存在感のある工場”を目指したデザインがいつまでも精彩を放つことを願います。

関東支店営業部 上野 穣

関東支店営業部 上野 穣

プロジェクトにおいて高純度化学研究所様と二人三脚で計画を進めていく中で妥協することなく、工場再構築の第一段階を無事に完了できたことを嬉しく思います。「大成さんなら、任せて安心。」というお言葉を社長様からいただくことができて嬉しく思うと同時に、今後も総力を結集して的確なソリューションを提供させていただきたいと思います。

工事概要

発注者 株式会社高純度化学研究所
所在地 埼玉県坂戸市千代田5丁目1番16号、17号
竣工 2009年11月
延面積 7,976.18㎡
URL
  • 本コンテンツに記載された情報(役職、数値、固有名詞等)は初掲載時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

関連情報

本ウェブサイトでは、お客様の利便性の向上及びサービスの品質維持・向上を目的として、クッキーを使用しています。
本ウェブサイトの閲覧を続行した場合は、クッキーの使用に同意したものとします。詳細につきましては、本ウェブサイトのクッキーポリシーをご確認ください。