10年ぶりに菊川工場内に3番目の工場を建設する。丘陵地にあり菊川市内からも東名高速道路からも良く見える立地であり、株式会社ミクニのフラッグシップになるような工場を建設したい。取引先企業への対応も考え「事業継続を念頭においた地震対策」や「CO2排出量削減」にも考慮した工場を提案してほしい。

「キャブレターのミクニ」で有名な株式会社ミクニ様。
現在も自動車部品を中核として幅広く事業を展開されている世界的自動車部品メーカーです。

「東海地震対策」「CO2排出量の削減」という建設プロジェクトコンペにおいて、建設会社4社による
プレゼンテーションを行った結果、大成建設が提案した「事業継続に基づいた環境配慮型工場」の提案が高く評価され、ご採用いただきました。

生産ゾーンは、常に生産が継続できるシンプルな器というコンセプトで造り込まれている。
その空間を実現したのは、

1階の製造エリアは外部に流出できないオイルミストが存在する空間であり、2階の製造エリアは外部より気圧を高めて清浄な空間を保持しなければならないクリーンルームであるという全く相反する環境条件に対して、建築システムと設備システムが相互補完し、快適な労働環境とクリーンな製造環境を実現した。

既存工場の振動環境測定を実施
⇒工場内の振動とは別に東名高速道路からの微振動を観測
当初は、一般建物向けのTASS免震を採用する予定だったが、微振動への対策が必要であることから、微震動対策を施した高性能な『Mic免震』を採用

精密組立エリアは、クラス100,000を基準としつつ、簡易パーテーションの設置によりクラス5,000まで清浄度を上げることを可能にし、将来のニーズにフレキシブルに対応できる空間づくりを実現

雨水利用・高性能浄化槽等 大成建設が保有する様々な環境配慮技術を集積

当工場は、茶畑の丘陵地にあり、菊川市街と東名高速道路を一望できる立地にあります。
本来こうした工場は閉鎖的な空間にすることが多いのですが、生産エリアを上手く厚生エリアで内包することにより、光を取り込める空間を生み出し、明るい工場にすることにも配慮しました。

また、地域貢献する工場として、バリアフリーな見学者通路も完備しており、見学者ビューラウンジも設置し、茶畑の見事な緑の絨毯を楽しむことができます。

外観の特徴は2つの顔を持つダブルファサードです。

それらを「ダブルファサード」として位置づけ、長大な壁面には多角形状に折り曲げたプレートを使用して両方向からの視線を受け止めるというデザインで“相似性”を持たせています。
東名高速道路から一瞬見える際に、いかに印象的な景観を創り上げるかを考慮したこだわりのデザインでもあります。
日が暮れてからのやわらかく浮かび上がったライトボックスが記憶に残ります。