育児育母支援を柱とする
地元に密着した施設をつくりたい。

お困りごと
次世代に目を向けた育児育母支援を柱とする施設をつくりたい。その実現に向けて、育母支援では産婦の精神的な負担を軽減すると共に、育児支援では子育てに安心して臨むことができるようにハード面・ソフト面の充実を図ることができる“病院の概念を超えた”新館を増築したい。
成功事例
本館と調和した新しい顔づくり
既存敷地内に新館を建設するにあたり、本館との調和を考えて設計を行いました。また、より一層の機能充実を図るため、当初の計画よりも用地を拡張し、施設規模を大きくした提案を行いました。
「病院らしくない施設づくり」を実現する“3つの癒し空間”

“明るくわくわくさせる空間”
エントランスホール、小児科・皮膚科外来ゾーン:
明るくオープンなガラスアトリウムや遊具にもなるオブジェ、明るい色調のサインで来院される母子を迎えます。
こどもの目には「病院=怖いところ」と映りがちな病院を楽しく親しみやすい空間とし、母子共に晴れやかな気持ちになるように配慮しました。


“温かく、つつみこまれる空間”
愛ちゃんワールド健診センター:
素足にとてもやさしい桐の床をはじめとした木調の素材、柔らかな色使い、手の届くところにある緑は、育児につかれたお母さんをほっとさせてくれます。また、広いフロアをクラスター的な空間構成で変化させて小空間を生み出し、コーナー毎の用途が広がりました。


“おちついた優雅な空間”
病室フロア:
ホテルさながらの高級感を演出しました。濃い木質系の色調でプライベートテラスを併設し、洗練された雰囲気を重視したAタイプ、ナチュラルな色調で子連れを意識して小上がりを設置したBタイプの2タイプを用意し、様々なニーズに応えます。
アロマリラクゼーションルーム:
妊娠中から産後の育児中に至るまで、お母さんのストレスをやわらげてくれる本格的なエステサロンです。



専門特化する分野と連携した施設づくり
育母支援、子供の空間を専門特化するために、この分野のスペシャリストである設計事務所、インテリアデザイン会社と大成建設の3者が、お互いの得意分野を活かしながら、垣根を超えた設計チームとしてお互いのノウハウを活かして機能・連携し、発注者の要望に応えました。
- ※「新館 愛ちゃんワールド館」
愛和病院が次世代に目を向けた育児育母支援を柱とする施設 - ※「愛ちゃんワールド健診センター」
子育てママ・パパの心の支援を、医師、社会福祉士、保育士、看護師など、育児サポーター達が協力して、とくに生後100日までを手厚くサポート

ソリューション
ソリューション
アトリウムの熱環境シミュレーション
明るく開放的な空間を実現するためにエントランスホールでは、ガラスを多用しています。快適な環境の実現と省エネルギーを考慮するために、大成建設設備計画部による“熱環境シミュレーション”を行い、結果を空調設備の整備と、ガラスカーテンウォール周りの設計に活用しました。


浮き床構造
最上階の4階に“厨房・多目的ホール”を設けているため、階下への振動・騒音を和らげる為に浮き床構造を採用しました。

フローリング
- 1階エントランスホール、4階多目的ホール:
来院する子供たちが転倒した場合など、安全性を考慮して衝撃をより吸収するクッションフローリングを使用しました。 - 愛ちゃんワールド館:
普段は家具として利用する“桐”をフローリング材として使用。“桐床”は、柔らかな風合いで素足にやさしく、調湿性能があり、床暖房を行っているかのような温もりを感じさせます。

大成建設 本社 設計本部 プロジェクト・アーキテクト 下手 彰
産科病院が運営する「育母支援施設」という、これまでに例のない施設計画はまさに“手さぐり”でした。
非常に高い理念をお持ちの院長夫妻の「思い」に様々なアイデアやデザイン、そして技術で応えたと思いますが、最初から完璧ではありませんでした。環境デザイン研究所さんとともに得意とする分野を活かしながら、「お客様の理想に応えたい」気持ちを持ちつづけられたからだと思います。
現在行っている改修工事は、壁一枚横で病院運営が行われている中での工事であり、非常に複雑なローリング計画のもと進めています。綿密な行政折衝、院内調整を伴いますが、少しでも病院の負担を減らし、理想の形に近づけるよう努力したいと思います。

大成建設 本社 医療福祉本部 課長 本田 浩之
今回の工事においては、藤田理事長と奥様をはじめとした病院関係者皆様の周産期医療に対する理念、その姿勢と、きめの細かいサービスを実現するために当社営業・設計・施工一丸となり努力してまいりました。竣工見学会並びに盛大な竣工披露パーティーにおいて理事長・奥様はじめ皆様のお喜びいただいている姿を拝見し、改めて今回の建物に対する期待度の高さを認識しました。
また、その期待に応えることが出来満足しています。引き続き、現在既存棟の改修工事を施工中であります。お客様の信頼に応えられるよう、今後もアフターサービス・メンテナンスに心がけ努力してまいります。

株式会社環境デザイン研究所 井上 寿 様
「出産直後、家庭に戻って孤立し不安に苦しむ母親を支えたい」、この言葉を実践する環境を如何に創造するか。全く新たな事業へのチャレンジに関わることができたこと、心からうれしく思います。このプロジェクトを通じて、誕生直後という乳児にとってふさわしい建築空間とはどういったものか、その親・家族が快適に過ごせる空間のあり方、さらには子育てとは、親子とは、家族とは、といったことを根本から考え直すすばらしい機会を与えていただきました。
また、環境はハードの提供だけでなく、すばらしいソフトの提供を目指す人々とのコラボレーションがあってより充実した総合的な環境の提供ができるのだという、ある意味当たり前のことを改めて実感させていただく機会にもなりました。
今後の社会福祉や医療などにおける次世代育成支援の流れに一石を投じるものとなればと願っています。
工事概要
発注者 | 医療法人 愛和会 理事長 藤田 壽太郎 |
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所在地 | 埼玉県川越市古谷上983-1 |
設計 | 大成建設株式会社 株式会社環境デザイン研究所 |
竣工 | 2006年9月 |
延面積 | 3,215.4m2 |
URL |
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大成建設 関東支店 愛和病院第3期工事 課長代理 長谷川 和夫
既存病院を営業しながら同一敷地内での工事という事で時間的な制約、振動・騒音対策、第三者に対する安全対策と通常の新築工事に比べて難しい工事となりました。我々も病院関係者と連絡を密にとり、細心の注意を払って工事を行ない、患者さん、病院関係者のご理解とご協力のもと、無事に竣工・お引渡する事ができました。藤田理事長、奥様をはじめ、スタッフの方々との打合せは深夜までかかる事がしばしばあり、この新病棟に対する熱い熱い情熱を私自身肌で感じ、身の引き締まる思いでした。
竣工しました「愛ちゃんワールド館」はそんな病院関係者の方々の熱い思いが見事に形となり、非常に満足して頂き、私自身この仕事に携われた喜びを改めて感じました。現在本館改修工事を行っていますが、新館同様に熱い思いを形にできる様に一層頑張っていきたいと思います。