高度専門医療を強化し、良い環境を提供したい。

お困りごと
病院が老朽化してきたため、建替えを検討している。
急性期病院※としての機能を充実させ、患者さまやスタッフにより良い環境を提供するとともに、経営力アップにつながる病院づくりを行いたい。
- ※急性期病院とは、急性疾患または重症患者に対し24時間体制で高度な専門医療を提供する病院のこと。
成功事例
北海道札幌市にある医療法人社団 研仁会 北海道脳神経外科記念病院は、2012年4月に大成建設の設計・施工により新病院を建設し、旧病院から機能を移転しました。
1983年の開設以来、「患者様第一」を基本理念とし、札幌市内はもとより道内の救急医療を担っておられます。



大成建設は市場調査を行い、収集したデータをもとに新病院の事業性や将来のあり方について、お客様と共に一つ一つ検討し形にしていきました。
STEP1:周辺地域の市場調査からスタート!
大成建設は、新病院の建設予定地を囲む周辺の4区を重点的に市場調査しました。各区をさらに詳細に分け、年齢別人口や外来・入院患者さまの想定数、点在する脳神経外科専門病院の数やそれぞれの規模、診療科目、施設機能などを調査・分析し、医療の需要と供給のバランスなどについて具体的な数値を用いて明確にしました。

「大成建設の提示してきたデータや検証内容は的確で納得できる」と評価していただき、数社の中から大成建設を事業パートナーに選んでいただきました。
STEP2:新病院の事業性を分析・検討
新病院のあるべき姿についてお客様と対話を重ねた結果、「高度専門医療と回復期リハビリテーションへの取り組みを強化し、経営力アップにつながる病院づくり」を目指すことになりました。
そのためにまず、旧病院における急性期病床や障害者病床の構成比、病床の稼働状況、看護師などのスタッフ数や人員配置などについて現状を洗い出し、例えば「病床の構成比を変えた場合、必要人員や事業収支はどう変化するか」など、それぞれのケースにおいて事業シミュレーションを行いました。次に、旧病院の事業収支と市場調査の結果を照らし合わせ、新病院における適正な病床数や想定される患者さまの数、将来の収益などについて検討し、新病院の機能や構成をプランニングしていきました。

STEP3:今後求められる急性期病院の機能を強化
新病院では、旧病院と同じ総病床数(134床)のうち、一般病床や障害者病床の数を調整してSCU(集中治療室)と回復期リハビリテーションを新設し、個室率を増やしました。
より高度できめ細かな診療体制を整備するとともに、患者さまに入院から退院までを同じ病院で安心してリハビリテーションを継続していただけるよう、手厚い医療と看護を提供しています。

フロアの特徴
1階:患者さま、医師や看護師がスムーズに移動できる動線計画
外来の患者さま、救急の患者さまに対応するエリアを分けました。それぞれのエリアでは診察室や検査室などを治療する順に配置しており、人の動線が一方向にスムーズに流れるよう計画しました。エリアごとに個別に消灯ができるため、省エネ効果も見込めます。

2階:急性期治療の充実
急性期治療専門のフロアとしてSCUを新設し、スタッフステーションを中心にオペ室やSCU、一般病床(準SCU、個室含む)などを配置しました。コンパクトにまとめることで効率的な動線を確保しています。
3階:リハビリテーション機能を新設
回復期の患者さまが過ごされる病棟とリハビリテーションエリアを集約しました。外来・入院患者さまの双方がリハビリテーションを行えるスペースを確保することで、早期回復をサポートします。

STEP4:デザインコンセプトは「シャープで清潔感・開放感のある施設」
機能性の高いフロアデザインを実現するとともに、意匠性を兼ね備えたデザインを目指しました。外観は、水平・直線ラインを強調したシャープなデザインにより先進性を表現しています。外観・内装ともに、旧病院を踏襲した白を基調に黒い木目を用いてモダンさを表し、窓ガラスを多用することで、明るく快適な病院づくりを実現しました。


大成建設担当者より
大成建設 設計本部建築グループ 佐々木 直大
今回のプロジェクトでは、フロアごとに病床数やスタッフ数が異なるため、患者さまやスタッフの方々の動線、セキュリティの確保などについて配慮し、施設全体の構成をまとめていきました。
スタッフの皆様に運用調査(普段の動きなどについて詳細にヒアリングする)を行わせていただき、その結果を反映しながら効率的で無駄のない、安全な病院づくりを行いました。新たに生まれ変わった新病院で、これからも患者さまに寄り添う高度な地域医療を提供されていかれることを期待します。
工事概要
発注者 | 医療法人社団 研仁会 |
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所在地 | 札幌市西区八軒9条東5丁目1-20 |
竣工 | 2012年4月 |
延面積 | 9,680.3m2 |
URL |
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大成建設 ソリューション営業本部ビジネス・ソリューション部 医療福祉計画グループリーダー 盛田 潤
「お客様が思い描くイメージの一歩先行く提案をする」という視点で市場調査の結果をもとに事業スキームを作成し、例えば、病床構成別に事業収支をシミュレーションして比較するなど、お客様とともに一つ一つ検討しました。
大成建設の医療福祉本部は、経験豊かな医療施設のスペシャリスト集団として、極めて専門性の高い医療施設のあり方を追求するとともに、経営にも踏み込んだコンサルティング力を活かして病院づくりをサポートいたします。ぜひご相談ください。