さまざまな思いを形にした高品質な施設づくり

ホスピスコーディネータの経験を生かして、制度上の施設にはないケアという関係で結ばれた共同体(コミュニティ)を作りたい。
お困りごと
桜町病院聖ヨハネホスピスで、ホスピスコーディネータとして2万人以上の方々と出会い、さまざまな「声」を聞き「経験」をしてきました。そしてその病院に医者として勤務していた山崎章郎先生(「病院で死ぬということ」筆者)とホスピスのあり方について検討を重ねました。
緩和ケア病棟という枠組みでは様々な規制があることから、地域に根ざした普通の生活の中で「ケアという関係で結ばれた共同体(コミュニティ)」を作るというコンセプトを導き出しました。こうした私たちの思いを形にした高品質な施設づくりを実現してもらえないでしょうか?
成功事例
2005年9月、建物内のいたるところに日が差し込み、木の温もりを感じられるこの「住まい」は完成しました。この建物には地域の方の在宅医療を行う診療所、訪問看護ステーションやデイサービス、そしてケアを必要とする方が入居できる21室の共同住居、食事のサービスを行うダイニングが備わっています。
さらに地域住民の方々との交流にも使えるアトリエやスタジオ、中庭にはフットサルやゲートボールが可能な広場もあります。当施設のオーナーである長谷様と前述の山崎先生そして設計の太田先生の理念をくみ取り、さらに高品質な施設を作り上げられるように、施工上のさまざまな提案をさせていただきながら形にしていきました。


ソリューション
前例のない施設のため、施工にあたっては、オーナーの長谷様・設計の太田先生と綿密な打合せをもって進めました。長谷様の熱意に施工担当者もより一層志気が高まり、品質向上のためにさまざまな提案をさせていただき、チームワーク良くプロジェクトを進行することができました。




大成建設担当者より

またコンクリート表面に建物に合う表情を出したいということで打合せおよび試作を重ね、コンクリートに木目の模様が出る仕様に決定しました。
コンクリート打設(流し込み)は綿密な計画を立て補修なしのコンクリート打放しが仕上がりました。敷地周辺は樹木に囲まれていて、コンクリート打設が枯葉の時期と重なり枯葉が落ちるのを防ぐのも一苦労でした。
品質の向上のために提案し当社のノウハウをぶつけてきました。竣工10年後に「大成建設を選んで良かった」と思ってもらいたいですね。

大成建設 東京西営業所 藁品(わらしな)隆章
当社としても今回のプロジェクトのようなコンセプトの施工例は無く、医療福祉営業と連携を取りながら対応させていただきました。完成後の建物収支、役所に対する設計支援等、あらゆる面において当社の総力を上げてサポートさせて頂きました。
現場サイドでは意見交換を何度となく繰返し、長谷様、設計の太田先生、現場担当者の相互理解のもと進められました。「満足出来る良い建物を造る。」この思いが当社社員のみらならず作業に従事した一人一人まで伝わって完成した建物です。

大成建設 建築営業本部 長谷(ながたに)英樹
医療福祉施設の営業に携わってきた私ですが、ホスピスの経験から発想された新しい住居を建設するという発注者の長谷様の思いを形にするお手伝いができて、医療福祉という分野に携わる意識がますます高まりました。長谷氏主催で建物にかかわる当社社員・職長・職人の方も一緒にバーベキューを行うなどの企画もしていただき、作業所の雰囲気も良く全員の手作りで建物を建てたという気持ちです。
工事概要
発注者 | 有限会社暁記念交流基金 長谷方人 |
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設計者 | 太田ケア住宅設計 |
所在地 | 東京都小平市御幸町 |
竣工 | 2005年9月 |
延面積 | 2,645m2 |
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大成建設 工事担当 菊池 敏之
「入居される方の視点になり建物を作って欲しい」という長谷様の思いを形にするために、入居者の視点に近づけるように着工前にホスピスについて勉強し現場に臨みました。安心して寛げる空間づくりということで内装は、木・紙・土と天然素材を使った仕上となっています。とにかく多種の木材(杉・檜・松・楢・ヒバ・タモ等)を使用しているためコンクリートの器の中に在来木造住宅を嵌め込んでいく感じでした。木種の性質を理解し生かす提案・検討を重ねながらの施工でした。