精神科病院事例

大成建設の精神科病院への提案

近年精神科病棟において、疾患別の密な治療を行うことが増えています。一方で、疾患によってはまとまった入院患者数の確保が難しく、一つの疾患に絞って一病棟を構成することができないケースも多々あります。そこで大成建設では、特に
急性期系の病棟でユニット型病棟の提案をしています。病棟をいくつかのユニットに分けることで、疾患別・男女別・
様態別の対応が可能になります。
メリハリのある投資を実現した「弘前愛成会病院」
青森県弘前市にある328床の弘前愛成会病院は、病棟の老朽化に伴う建て替えを2016年に終えました。経営環境の厳しい精神科病院の計画においては、使えるものは
使い、将来にわたる医療ニーズが高いものに投資を集約することが重要です。弘前愛成会病院のケースでは、以下の3つの方針を立て、建て替えを実現しました。
- 1慢性期系の患者さんがいる建物は極力投資を圧縮
- 2まだまだ使える前面道路に面した病棟を外来に改修することで投資を圧縮
- 3経営の根幹となる急性期系の病棟に投資を集約
必要な機能と規模を明確にして、限られた資源を有効に活用することが、永続的な病院経営に繋がることを具現化した病院です。


認知症の急性期に対応できる病棟をつくった「有馬高原病院」
- 病院概要
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兵庫県神戸市にある当時440床の有馬高原病院において、急性期の認知症患者に対応することを目的に専門病棟を2015年に建設しました。認知症患者に対応する病棟は通常認知症治療病棟ですが、この病棟には保護室の設置基準もなく、近年増加しているBPSD悪化への対応が難しいと言えます。そこで有馬高原病院では、急性期治療病棟(将来的には精神科救急入院寮)で認知症を処遇することにしました。
- 施設計画のポイント
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将来の精神科救急への移行を踏まえ、個室率を50%以上にするのは勿論、近年精神科病院においてもニーズが高くなっている個室に改修することを睨んだ多床室で
整備しました。
認知症患者は疾患の状態によって行動に大きく違いが出ることに着目し、病棟の中を急性期・亜急性期・回復期の3つのゾーンに分けて構成することで、スムーズな
退院・転棟の実現を念頭に計画しました。スムーズな退院を促す病床配置