医療施策の概要

近年の医療施策
2020年診療報酬改定の基本的視点として、「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」を重点課題として、以下の3つの内容が挙げられました。
- 医師等の長時間労働などの厳しい勤務環境を改善する取組の評価
- 地域医療の確保を図る観点から早急に対応が必要な救急医療体制等の評価
- 業務の効率化に資するICTの利活用の推進
この他、「患者・国民にとって身近で安心・安全で質の高い医療の実現」、「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」、「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」が打ち出されました。
急性期医療の方向性
急性期の入院医療では、救急医療を担当する医療機関の評価の適正化と一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に関する見直しが行われた。これにより、内科系の病院は上位の入院料を維持することが難しくなり、一方で外科系・救急重視の病院は上位の入院料に移行できる可能性があります。
外来医療では、紹介状なしで一定規模以上の病院を受診した際の定額負担の見直しが行われ、定額負担を徴収する医療機関の対象範囲が拡大し、徴収しなかった合の事由についても報告を求められることになりました。

回復期・慢性期の方向性
回復期医療では、回復期リハビリ病棟におけるリハビリテーションの実績について見直され、実績指数の変更や重症度割合にFIMの結果が追加されるなど、アウトカム評価が重視されています。
地域包括ケア病棟は、自宅等からの入院や緊急入院受入人数、DPC対象患者の転棟後に入院期間Ⅱまで算定といった実績に関する施設基準を見直されました。
慢性期医療では、療養病棟入院料1・2にも該当しない経過措置1(旧25対1)は評価が下がり、経過措置2(旧30対1)は廃止となったため、入院料2の20対1を目指すか、介護系への転換を検討する必要があります。






精神医療の方向性
第7次医療計画において、精神病床は新たな基準病床算定式が採用されました。これにより2025年度末の入院需要(最大22.4万人)が示され、精神病床の目標値が定められました。
さらに入院患者を4つに分類し、入院期間1年以上の“政策効果による地域移行”に相当する層は将来診療報酬の対象から外れる可能性がでてきました。
施設計画では“確実に将来も医業収入の見込める病棟に投資する”といった投資対象を明確することが重要なポイントと考えます。

