社会医療法人真美会 中野こども病院

小児医療の新たな活動拠点を、
診療を続けながら構築したい。

社会医療法人真美会 中野こども病院

お客様のご紹介

大阪市旭区にある社会医療法人 真美会 中野こども病院様は、「子どものためなら何でもしよう」という信念のもとで1966年に創立された、全国的にも数少ない民間の小児内科専門病院です。
創立以来、子どもの立場に立った救急医療(365日・24時間体制)と心身両面からアプローチする医療の実践を2大柱に活動され、区内のみならず大阪府の広域から多くの患児が来院しています。

お困りごと

今後もさらに充実した小児医療を提供していくため、老朽化した病院を建替えたい。診療を続けながら工事を行うことは可能だろうか。
また、新築にあたって子供たちに優しい環境を造りたいが、建物が完成する前にイメージを確認できないだろうか。

成功事例

今回のプロジェクトでは、診療を続けながら新病院(新館・本館/地上3階建て)の建設を行うため、ローリング計画※1を実施することになりました。
大成建設の設計・施工により2013年4月に新館、2015年1月には本館が完成しました。

  1. ※1計画地内にて、新施設を建設→旧施設からの機能移転→旧施設の解体→新施設の建設・機能移転など、医療活動を停めずに工事を順次進める方法
新病院の完成パース(左:新館 右:本館)
新病院の完成パース(左:新館 右:本館)

ローリング計画

着工時
着工時
新館を建設・旧病院からの機能移転・旧病院を解体(第一期工事)
新館を建設・旧病院からの機能移転・旧病院を解体(第一期工事)
本館を建設・新館から一部機能移転(第二期工事)
本館を建設・新館から一部機能移転(第二期工事)
新館を改修(第三期工事)
新館を改修(第三期工事)
社会医療法人真美会 中野こども病院 理事長・院長 木野 稔 様

社会医療法人真美会 中野こども病院 理事長・院長 木野 稔 様

大成建設は、既存病院を建替えるにあたり、工事中も休診にする必要なく、新館の建設と旧病院からの機能移転、旧病院の解体、本館の建設など、順次効率よく安全に工程を進めながら病院全体を整備する方法を提案してくださいました。
また、臨床心理学を用いたオリジナルインタビュー手法※2を用いて私たちが理想とする新病院のイメージを掘り下げ、体系的にまとめ、明確なコンセプトをつくる一助を担っていただきました。

私たちが展開したい医療はどういうものなのか、そのためにはどのような病院づくりを行うべきかについて、私たちとともに真剣に考え、時にプロの視点でアドバイスしながら、新館・本館のプランニングを行ってくださいました。

ソリューション

「子どもにとって一番大切なことを考え、医療を提供する」という病院の理念を実現していく場としてふさわしい新病院の構築を目指しました。
具体的な設計プランについて病院の皆さまと共有し協議する際には、3次元で 立体設計図を作成するツール「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデル)」を採用しました。これにより、誰もが平面の設計図面を用いる場合よりも実物に近い建物のイメージを持つことができ、より綿密なコミュニケーションを重ねることができました。

「保健」と「治療」を2棟で分ける安全・安心な病棟構成

病児保育室の様子
病児保育室の様子

予防接種や健診に訪れる親子と病児の交差感染を防ぐため、保健と治療に必要なそれぞれの機能・空間を新館と本館に分けて構成する病棟計画としました。

改修後の新館1階には小児保健部門と病児保育室を、3階には子育てサポートエリア(臨床心理室、在宅・子育て支援室など)を集約し、「単に治療するだけでなく、こどもの成長を支援するための取り組みを充実させるため、施設の機能向上を図りたい」という中野こども病院様の思いを形にする計画としています。

また、小児保健部門と病児保育室には、それぞれ単独の出入り口を設け、アプローチ動線を分離することで交差感染を防止します。

患児を看守る・自然治癒力を高める空間づくり

新館・本館の1階に設けられた待合スペースは、中待合をつくらずワンルームとし、その周りを囲むように診察室等を配置することで、待合スペースのどこにいてもすべての部屋から見渡せるオープンな設えとしました。待合スペースの一部には、「“遊び”を通して患児の自然治癒力は高まる」という病院の考えに基づき、プレイコーナーを設置しています。

待合スペース(新館)
待合スペース(新館)
待合スペース(本館)
待合スペース(本館)

また、合計79床の病室を収容する本館の2階・3階には、ナースステーションを中央に配置し、すべての病室に目が届く計画としました。院内の中心部を開かれたスペースとすることで、つねに患児を看守れる体制を整えました。

院内を明るく満たす「光の塔」

本館1階から3階の中央を貫く「光の塔」と名づけた筒状の中庭空間をつくることで、自然光で院内を明るく満たす計画としました。光の塔は、院内に光を導き入れるだけでなく、1階の待合スペースの空間を緩やかに分割しており、病状の異なる患児を混在させないことにも有効です。

大成建設 関西支店 設計部設計室 大塚 隆光

大成建設 関西支店 設計部設計室 大塚 隆光

中野こども病院様の小児医療に対する明確なビジョンを、新病院の計画に反映するため、木野理事長先生をはじめ、多くの病院関係者の方々とともに「今後の医療活動の拠点となる新病院はどうあるべきか」という視点で対話を重ねてまいりました。その対話のツールとしてBIMを使用し、全ての人が同じ視線に立って空間をイメージしながら設計していくことを心がけました。

また、院内における安全性や機能性を重視しつつ、来院されるお子様とそのご家族が安心して、安らぎを感じながら過ごせる空間づくりを目指し、シンプルでありながら、明るくあたたかみを感じられる設計を行いました。

子どもの恐怖心を軽減するサイン計画

子どもにとって「病院は怖い」というイメージを軽減するため、子どもに親しみやすいサイン計画を形にしました。例えば、診察室などの扉に描かれた動物は、扉を開けるとその正体がわかるような絵本の世界の遊び心を交えた設えになっており、少しでも子どもの恐怖心を和らげられるよう工夫しています。

工事概要

発注者 社会医療法人 真美会
所在地 大阪市旭区新森4-13-17
竣工 新館:2013年4月
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関連情報

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