国道沿いの敷地を有効活用し
複合施設という形態の福祉施設を建設

お困りごと
『四国のヘソ』と呼ばれている徳島県池田町で1984年より内科の医院を開院している。内科医院や老人保健施設「すこやか」を開設しており、更に地域に密着し、医療・介護を包括した医療機関を目指したい。徳島県でグループホームの申請が締め切られることもあり、この機会に老人保健施設の隣接地を活用して福祉施設を作りたい。どのような事業形態の可能性があるのか相談に乗ってほしい。
成功事例
徳島の山間部に位置し、吉野川も近く2004年の台風時には町が水に浸かりました。台風も多く、冬には雪も降るという気候のため、災害に強い施設を短期間で施工するのが必須条件でした。
グループホームもしくは地域性を踏まえての有料老人ホームなど、いくつかの事業計画のシミュレーションを行い、最適な事業展開を検討しました。

ソリューション
高低差のある敷地でしたが、前面道路と同じ高さにフロア-レベルを設定し、バリアフリーとなっています。地盤が低くなっている部分と1階のフロアーレベルの高低差を確保し水害に耐えられる施設としました。

周辺の施設状況や入居者の月額負担可能額(施設に入居した場合の支払能力)の予測を通して収入を想定しました。これにより、施設への投資可能額を常に意識しながら事業計画と設計を同時並行することで、事業リスクの少ない施設計画を立案しました。
先生が希望されていましたモダンな外観は、左右対象の整ったプロポーションとやわらかいクリーム色の外壁タイル、茶色に塗装した鉄骨等で表現しています。単調になりがちな外観の両サイドは、配管を隠すために木をデザインしてあります。




大成建設担当者より
工事概要
発注者 | 介護付有料老人ホーム メゾン阿波池田 グループホーム やまびこ |
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発注者 | タオカ(有) |
所在地 | 徳島県三好市池田町シマ717-1 |
竣工 | 2006年2月 |
延面積 | 1,548㎡ |
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大成建設 設計本部 建築計画グループ 岡田 哲
グループホームの計画は当初よりありましたが、有料老人ホームについては地域性から考えて需要があるかどうか先生ご自身が計画を迷ってらっしゃいました。
計画地は徳島県の山間部に位置している旧池田町と言うことから、人口の多い都市部の考え方をそのまま導入することは不可能と考えました。一方、子供が親元を離れ就労の可能性の高い都市部に住むことで独居高齢者が多いことが予測され、この高齢者が介護までは必要なくても、一人で暮らすことへの不安を抱えているのではないかと考え、有料老人ホームを先生にお勧めすることにしました。
具体的計画に際しては、計画地の周辺はもちろん徳島県内に有料老人ホームが少ないことから周辺動向から施設計画をすることが困難だったので、老人保健施設或いは特別養護老人ホームに入居する高齢者が支払う金額+αの範囲で事業が成立するかどうかがカギとなると考え、規模及び金額の設定を行いました。
結果として、事業的に大きな収益性を見込める仕組みをご提案することはしませんでしたが、地域医療(既存診療所+老健)を担いながら高齢者の生活(有料老人ホーム)をバックアップすることができることで、今まで以上に地域から信頼されて頼られる存在になると考え、先生もそれを受入れてくれたのだと感じています。
先生のご要望を聞くのは勿論ですが、もっと先生にやっていただきたい事業(今回は有料老人ホーム)があるのではないか模索し、その事業を行った際のメリット・デメリットを説明した上で、最終的に事業選定ができました。結果として先生及び地域の喜びに結びつくと考えています。
今後も計画面において、客先の当初の思い以上の結果が出せるように努力していきます。