海外事業TOPICS

ボスポラス海峡横断鉄道トンネル貫通

— ヨーロッパとアジアを結ぶ陸地トンネルと海底トンネルが接続 —

2011年2月28日

大成建設株式会社

大成建設(株)(社長:山内隆司)は、トルコ共和国イスタンブール市に建設中のボスポラス海峡横断鉄道トンネル建設工事において、ヨーロッパ側トンネルの最終区間を掘削し、先に施工済みの海底トンネルへの接続を2月18日に完了しました。これにより、カズリチェシュメ駅から、ボスポラス海峡を挟んでアイリリクチェシュメの新駅までの13,558mがつながり、ヨーロッパ大陸とアジア大陸が1本の鉄道トンネルで結ばれました。
2月26日(現地時間26日午前11時)には、現地での貫通記念セレモニーも行われ、トルコ共和国エルドアン首相をはじめ、多くの政府要人・関係者が出席し、盛大に貫通を祝いました。


ボスポラス海峡横断トンネル構想は、オスマントルコ時代の1860年に設計図が描かれるなど、トルコ国民にとって夢のプロジェクトでした。従って、この工事は「トルコ国民150年の夢」とも呼ばれ、国民の関心が大変高い国家事業です。現在ボスポラス海峡を横断する交通手段は、2本の道路橋とフェリーなどの船舶がありますが、交通渋滞と環境への影響が長年の問題となっていました。この鉄道が開通することで、人やモノの大量輸送が可能となり、トルコ共和国の更なる発展に役立つと期待されています。
セレモニーでは、トルコ共和国エルドアン首相をはじめ、出席者がヨーロッパ側から海底トンネル内を歩きアジア側への渡り初めを行うとともに、今回接続部分で行われた序幕式では、1860年の最初の計画から153年後に夢が実現されるとのエルドアン首相のスピーチがありました。
大成建設は2004年8月から、この工事に着手し、海底トンネルでは沈埋工法による世界最深部での沈設を成功させ、陸地トンネルではシールド工法・NATM工法などを併用しながら工事を進めるなど、トンネル施工技術の粋を集めた工事となっています。
ボスポラス海峡は、世界有数の海流速(約2.5m/秒)と、上下で逆向きの二層流がある複雑な海流で知られ、沈埋工法での施工は高度な技術を必要とする難工事と言われていました。そのような中、2008年8月には世界最深度となる海中60mでの沈埋函接続を成功させ、同年9月には海底トンネルの沈設作業を無事完了しました。陸地トンネル(シールド工法)と海底トンネル(沈埋工法)との海峡下での接続は、昨年2月にアジア側工区で行われ、先に沈設した海底トンネルに、陸地からのシールドマシンを海中で接続するという世界初の試みでした。今回はアジア側より更に深い海中で成功させています。
手順としては、陸地と海底トンネルの間を人工地盤で埋め立て、シールドマシンが許容誤差数cmという精度で海底トンネルに接すると、凍結工法と呼ばれる特殊な止水技術により、海水の浸入を防ぐ措置が取られます。止水完了後は海底トンネルの鋼製の遮断壁(バルクヘッド)とシールドマシンの前面カッター部を撤去し、トンネルが貫通します。今回は、1月26日にシールドマシンが接続位置まで掘削を完了、止水措置及び効果確認を経て、2月17日に止水鉄板の溶接を完了しました。その後、海底トンネル側の遮断壁(バルクヘッド)の解体とシールドマシン前面の撤去を行い、2月18日にトンネルが貫通しました。
今後、トンネル内の設備工事や軌道の敷設工事、駅舎建築工事などを行い、2013年10月の完成に向けて、鋭意施工してまいります。

【工事概況】
発注者 トルコ共和国 運輸通信省・鉄道・港湾・空港建設総局(DLH)
施工 大成建設JV
資金調達 国際協力機構(JICA)
  • 延長約13,558mの軌道及び付帯構造物の設計・施工
沈埋トンネル 1,387m
シールドトンネル 総延長18,720m(9,360m×2 複線)
山岳トンネル シルケジ駅(プラットホーム等)、渡り線、避難連絡通路
開削駅舎 イェニカプ駅、ウスクダル駅、シルケジ駅出入口
地上駅舎 カズリチェシュメ駅
  • 駅舎建屋、設備・電気工事の設計・施工

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