東京都庁

ハイテク都庁が新宿を変える、東京を変える。

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ハイテク都庁が新宿を変える、東京を変える。

超高層ビル群の中で、ひときわビッグな摩天楼

第一本庁舎は、地下3階・地上48階建て、高さ243m。日本有数の超高層ビルであるとともに国際都市TOKYOの顔でもある。
243mの高さの割に、地下はたったの20mと聞くと、ちょっと意外な感じがするかもしれない。そこで地下躯体と地上躯体の重量比を見てみると───。

工事の様子
工事の様子

2階から上の地上躯体の重量は、鉄骨・外壁PC板・床コンクリートを合計して約12万t。それに比べて地下から2階までは、ほとんどコンクリートであるため、鉄筋と合わせて約20万t。重量は地下躯体の方がずっと重いのである。スリムなプロポーションを持つ第一本庁舎だが、意外と重心は低く、耐震の面から見ても安心というわけである。

新宿の夜景
新宿の夜景

予定どおりの積層工法開始の鍵

当時は仕事量がオーバーフローしている状況であり、施工にあたり建築資材を一社に一括して発注することが難しかった。そのため少しずつ分散して発注せざるを得ず、その分、工場検査など管理に手間と時間がかかることになる。

そこで、少しでも工程の効率化、労務の省力化を促進するため、大幅な工業化(工場生産)が図られた。たとえば、地下躯体。大梁・小梁・床板などを可能な限りPC(工場生産)化した。
また、高層階床も、設備・電気の配管を地上で組み込んだ「ユニットフロア」を使用した。

地上躯体工事は、まず鉄骨を、正面玄関となる2階から、吹き抜けエントランスホールとなる3、4階を経て5階まで一気に建てた。
そして5階の床コンクリートを打設後、6階から48階までを積層工法で施工した。

地下躯体は、基礎梁から始まって地下3階から順に各階床のコンクリートを打設し、1階床コンクリート打設後、そこを作業床として、「ユニットフロア」の組み立てが行われた。

総監督である鈴木建夫所長は、「タワークレーンなどの機械の揚重能力によって1日に取りつけられるユニットの数が決まっているので、積層工事の取り掛かりが遅れれば、そのまま竣工に影響が出ます。だから、積層工法を予定通り開始させることが、工事全体の大きな節目でした。」と語った。

環境にも配慮した東京都庁

地域環境の保全

これだけ規模の大きい建物となると、各方面で地域の環境にも影響を与えることが予想されるが、そのためにさまざまな対策が講じられている。

たとえば、電波障害はどうだろうか。遮蔽障害については、共同アンテナを設置。反射障害には、まわりのビルよりも頭を出す高層階の壁面にフェライトという電波吸収体を取り付け、電波を熱エネルギーに変換する方法を採用している。また、雨水を貯蓄してトイレの洗浄水に利用するとともに、豪雨時には時間差排水することにより、下水管施設および河川に対しての降雨負荷を軽減させる処置が取られている。

新都庁舎の残土で岡本綾子プロ設計のゴルフ場
(現:若洲ゴルフリンクス

第一本庁舎の基礎の掘削は、地下20m、掘削残土は20万m3。11tダンプで約3万台分である。それを5.5ヶ月間で搬出。第二本庁舎・議会棟とあわせて46万2千m3にのぼるこの大量残土の処分については、ダンプトラックによる交通渋滞や騒音、交通事故等を防止するため、運搬ルートの検討や時間的な制限などさまざまな対策が取られた。

残土の運搬先は、羽田空港の沖合埋め立て地と東京湾の15号地。埋め立てられた15号地は東京都のゴルフ場となった。そしてそのゴルフ場を設計したのは岡本綾子プロ。残土といえど、ムダにしなかったのだ。

環境に配慮した東京都庁
環境に配慮した東京都庁

工事概要

発注者 東京都
所在地 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
竣工 1991年3月
延面積 195,000m2
高さ 243m
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