「京都経済百年の計」を実現する交流と融合の場。

京都経済センター

WORKS

京都経済センター
京都の伝統建築群にもみられる左右対称のデザインで、安定感のある美しさを生み出した

京都市内の各所に点在していた経済団体の知恵を融合し、新たな価値を創造する交流の場として計画された 京都経済センター。
ビジネスの中心地である四条室町で、伝統的な風格の中に新しいイメージを感じさせる外観、四条通りで初めてとなるオープンバルコニーを実現しました。
人と人、人と街の新たな出会いを生み出し、街により一層の賑わいをもたらしています。

大成建設のソリューション

京の作法を取り込んだ外観デザイン

京都の伝統的な建築に多くみられる「えぐり・ほり・ひけ」の3 つの形態手法を、外観デザインにおける「カタチの作法」としました。
いずれもプリミティブな操作ですが、直感的でわかりやすく、空間と環境が馴染みやすくなります。

カタチの作法
合理性と機能性に優れたフレキシブルで使いやすい空間です。

地下1階~2階に商業施設、2階にはさまざまな催しに対応するイベントホールを配置しました。

京都経済の新たな顔となるこの建物は、ここ四条室町から始まる京都の街の未来の「カタチ」となります。

フロア構成図
フロア構成図

SPECIAL INTERVIEW

京都発の新しい産業を創出する

四条通り初となったオープンバルコニーに立つ
四条通り初となった オープンバルコニーに立つ
京都知恵産業創造の森 専務理事 山下 徹朗 氏(写真中央)
京都知恵産業創造の森 梅垣 純 氏 (写真右から2番目)
京都府商工労働観光部 副部長 上林 秀行 氏(写真左から2番目)
大成建設 関西支店(京都経済センター設計担当)西崎 暢仁(写真右端)
大成建設 京都支店(京都経済センター営業担当)宮本 國彦(写真左端)
─「京都経済百年の計」と位置づけられた、本プロジェクトに込められた想いを伺わせてください。

上林氏:古より多彩なベンチャーが生まれ育ち、日本を代表するグローバル企業を輩出してきた京都ですが、ここ数十年は、新たな価値を創造したり、産業を興すには至っていませんでした。
今回、この京都経済センターに結集した6つの経済団体(京都商工会議所、京都工業会、京都産業会館、京都府中小企業センター、京都織物卸商業組合、京都信用保証協会)は、個々の取り巻く状況は違えども、その課題意識は共通で、みな京都発の新しい産業の創出が必要と考えていました。
そのためにはオール京都で、官民一丸となって取り組む必要があります。ちょうど京都産業会館や各団体の建物の老朽化、建て替え問題も重なり、京都市が所有する土地に、京都府が中心となって建設し、6 団体が「拠点統合」を果たし、さらに他の経済団体、中小企業支援団体、産業支援団体など60もの団体が集結したというわけです。

山下氏:そこで設計施工を一括発注する事業者を、公募型プロポーザル方式で選定することになったのですが、商業エリアの企画開発・整備もセットにしました。発注・請負という関係だけでなく、この一大プロジェクトの一員、我々のパートナーを選ぶということだったのです。
その時、大成建設さんが提案された施設コンセプト「泉古水新 百花斉放」は、みなが持っている京都のイメージに見事に重なったと思います。

西崎:伝統を守りつつ常に新しさを追求してきた京都文化を発信する建物はどうあるべきか、設計チームでとことん話し合う中、浮かんできた言葉です。
泉古水新は、古い井戸であっても湧き出る水はいつも新しく、本当に価値あるものは古くても新しい。百花斉放は、その湧き出る水を吸収し、いろいろな花が咲き開くという意味で、多くの人々が自由に学 問・文化・芸術などを展開する様を表しています。

上林氏:京都は地下水が豊富で、こんこんと湧き出す水が街を潤し、文化を育ててきました。そんな泉のような建物というイメージをみなで共有できたことが、その後、具体的に設計が進む中で拠り所になったのではないでしょうか。

宮本:千年続く祇園祭の風景に調和させつつ、四条通り初のオープンバルコニーという難題の実現にもつながったと思います。
一方でこの3階は、プロポーザル時点では3,000m2の大部屋、というだけの与件で、設計を進める中で姿が見えてきましたよね。

山下氏:当センターの核であり、他にはない人材育成、中小企業支援の場というイメージは共有されていたのですが、具体的な内容は決まっていませんでした。大成建設さんにも加わっていただきアイディ アを出し合う中で、思いっきり若い層、大学生や高校生をもターゲットとした、気軽に立ち寄って相談できる、新たな出会いがある場という姿が浮かんできました。
京都経済界は、とにかく若い人たちに期待しているんです。我々の「こういうのはできる?」「どうにかならない?」という投げかけに、西崎さんはその場でサッと絵にして応えてくれたので、みなが理解しやすかったし、活発な議論ができました。
そこから生まれたのが交流スペース「KOIN(Kyoto Open Innovation Network)」です。3 階はKOINを中心に、左右に貸し会議室・オフィスがずらりと並ぶのですが、京町家の「通り庭」をヒントにして、賑わいがにじみ出る廊下のアイディアは、とても良かったですね。

西崎:与件のないプログラムづくりから参加するなど、いつもとは違う設計行為でした。さらに竣工後、半年ばかりKOINの運用にも関わったことは、設計者としてのターニングポイントになったと思います。

梅垣氏:本当に最初は手探りでした。どうやったら若い世代に来てもらえるのか、この場所を知ってもらえるのか。それで若手の建築デザイナーでもある西崎さんにも企画出しや、SNS での情報発信、学 生さんへの声掛けなど、いろいろ助けていただきました。デザイン系の学生を対象に5 回シリーズで実施したデザインワークショップでは、メインコーディネーターも務めてもらいましたよね。せっかくなので、この建物のデザインについて移動しながらレクチャーしてもらったのですが、オープンバルコニーの手すりや、エントランスの鎧張りのタイルなど、なぜこの形、素材なのか、改めて知ると、なるほどと感心しきりでした。参加者からは忌憚のない意見、率直なダメ出しもいただいて(笑)。
実際に設計した人と話す機会はそうあるものではないので、デザイナーの卵たちにとっては貴重な出会いになったと思います。

西崎:いざ自分が運用してみると、なぜここに扉を付けたのか、こんな仕様にしたのか。いろいろ見えてきて、反省することもありました。
建物は竣工して終わりではなく、運用する人や使う人と一緒になって育てていくことの大切さを学び、その後の設計に対する姿勢も変わりましたね。

梅垣氏:おかげさまで初年度のKOIN利用者は延べ25,000人。
今年度はコロナ禍で大勢が集まることが難しくなっていますが、新しい交流の方法を試してみたり、空間の使い方を考えたり。日々試行錯誤ですが、みなさんの知恵もお借りして、未来に咲き開く「百花」を育てていきます。

工事概要

発注者 京都経済センター(仮称)整備共同事業体
所在地 京都府京都市下京区
竣工 2019年1月
延面積 29,287m2
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