木の温もりで包み込みアスリートと観客の一体感を創出する。

国立競技場

WORKS

スタジアム内部
太陽光が木漏れ日のようにフィールドに差すスタジアム内部。観客席の勾配が徐々に急になる「すり鉢状」の3層スタンドを360度連続させ、フィールドを包み込むことで、臨場感や一体感を創出した

神宮の杜と調和する日本らしいスタジアム

新たな国立競技場は、「庇」を積み重ねた日本らしい外観としました。伝統建築の構成要素である庇は、日本の風土に根ざした古来からの知恵。日射を遮って心地よい風を観客席に送り込み、環境に優しい建築をつくります。さらに明治神宮外苑の緑豊かな環境に溶け込むように、建物の高さを出来るだけ抑え、軒庇には在来種の緑を茂らせました。フラットな大屋根は、国産木材と鉄骨を組み合わせた架構による約60m の片持ち構造。日本の伝統・風土・技術を融合した、世界に誇れるスタジアムです。

スタジアム外観

千駄ヶ谷門からの外観。全国47都道府県の森から調達した杉(沖縄のみ琉球松)による軒庇が深い陰影をつくる、温かみのある佇まい
上空から見た屋根構造
明治神宮外苑の景観に配慮し、高さを抑えたフラットな屋根構造
青山門正面
青山門正面には旧競技場の歴史を継承する炬火台および、「野見宿禰(のみのすくね/『日本書紀』に登場する相撲の始祖)」と「ギリシャの女神」の壁画を設置
エントランスゲート
観客を内部へと誘うエントランスゲート
外観と夕景
市民が散策できる周長約850mの屋上空間「空の杜」と新宿の夕景

風を活かし観客席の温熱環境を改善

開口率35%.png
開口率50%.png
方角によって異なる「風の大庇」の開口率

「風の大庇」が季節ごとの風を効率よく取り込みながら、スタジアム内の熱と湿気を上部から排出することで、観客席とフィールドの温熱環境を改善しています。また、庇を構成する格子の間隔(開口率)を方角によって変え、南南東側は密にして夏の風を捉え、観客席に導き、北側は拡げて冬の風を受け流し、屋根内部に導きます。

「風の大庇」と「空の杜」
風を取り込む「風の大庇」と、在来種の緑を茂らせた「空の杜」
「風のテラス」
コンコースや下層スタンドに風を取り込む「風のテラス」

スタンド
下から20度、29度、34度と勾配が急になっていく3層スタンド。杜の木漏れ日を演出する、モザイク模様のアースカラーで彩られている
スタジアム断面図
スタジアム断面図。バックスタンド側(左)とメインスタンド側(右)

優れた構造性能と施工性の追求

鉄骨と木材を組み合わせた温かみある大屋根
鉄骨と木材を組み合わせた温かみある大屋根

限られた工期内で優れた品質と耐久性を実現するため、片持ち屋根とスタンドは同じ構成のフレームを周方向に繰り返すシンプルな鉄骨造とし、基礎や観客席などにはプレキャスト部材を多用しました。また、ソフトファース トストーリー制震構造を採用し、オイルダンパーを用いた柔らかな下層階が地震エネルギーを効率良く吸収します。

ソフトファーストストーリー制震構造
耐震性に優れたソフトファーストストーリー制震構造

工事概要

発注者 独立行政法人日本スポーツ振興センター
所在地 東京都新宿区
竣工

2019年11月

延面積 192,000㎡
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