110年間変わらぬ姿で「鉄のまち」を見守る迎賓館の継承。

瑞泉閣

WORKS

皇太子のための宿泊所を保存改修

明治44 年、皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)の北海道行啓の折、日本製鋼所室蘭製作所に建設した宿泊所です。煉瓦造の洋館と木造の和館から成る和洋館並列型建築で、現在も迎賓館として大切に使用されています。次の100 年を見据え、平成20 年の和館耐震改修に続き、今回、洋館も耐震補強、設備改修、経年劣化部分の補修を実施。創建以降引き継がれてきた外観、内装を保存し、次の世代への継承を目指しました。

暖炉やシャンデリアなど華麗な装飾にあふれる洋館内部。奥から御座所、謁見の間、控の間の3室が並ぶ
暖炉やシャンデリアなど華麗な装飾にあふれる洋館内部。奥から御座所、謁見の間、控の間の3室が並ぶ
テラスを通して日の光が差し込む御寝所
テラスを通して日の光が差し込む御寝所
外観を印象づける3本の煉瓦積煙突は、地震時に倒壊する危険性が高く、現在使用していないことから、FRPで忠実に再現し外観を保存した
外観を印象づける3本の煉瓦積煙突は、地震時に倒壊する危険性が高く、現在使用していないことから、FRPで忠実に再現し外観を保存した

明治44年の創建時(図1)と改修前(図2)の瑞泉閣。嘉仁親王が視察された室蘭製作所を見下ろす高台に建設され、110年を経た現在も当時と変わらぬ姿を維持している

明治44年の創建時
明治44年の創建時(図1)
改修前(図2)
改修前(図2)

大成建設のソリューション

補強部材を一切見せない耐震補強

外観や貴重な内装をそのまま保存するため、煉瓦壁自体に耐震性をもたせる「煉瓦壁プレストレス工法ポストテンション方式」を採用。高さ6.5m、奥行き45cmの煉瓦壁に垂直に孔をあけ、65本の高強度鉄筋を挿入、約100kN/本の緊張力を導入しました。耐震補強部材はすべて煉瓦壁内、小屋裏、床下の見えない範囲に設置しています。

補強部材を一切見せない耐震補強
煉瓦壁の頂部5段を撤去して同じ高さのRC臥梁を打設し、高強度鉄筋を挿入して緊張
煉瓦壁の頂部5段を撤去して同じ高さのRC臥梁を打設し、高強度鉄筋を挿入して緊張
頂部の鉄骨補強ブレースは煉瓦壁の面外方向への倒壊を防止するため菱形に取りつけた
頂部の鉄骨補強ブレースは煉瓦壁の面外方向への倒壊を防止するため菱形に取りつけた

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工事概要

発注者 株式会社日本製鋼所
所在地 北海道室蘭市
竣工 2020年7月
延面積 198.43m2(洋館)/319.13m2(和館)
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