祇園文化を次代に受け継ぐ、劇場建築の耐震改修。

祇園甲部歌舞練場

WORKS

本館客席(舞台側)
本館客席(舞台側)。内装の木造作を「生捕り」して、空間を保存した
玄関棟(左手前)および本館(中央奥)
玄関棟(左手前)および本館(中央奥)。改修前の姿を維持している。右手は別館
1913年竣工当初の歌舞練場
1913年竣工当初の歌舞練場。
現在と変わらない姿が窺える

大規模木造の文化財を保存活用する

京都の春の風物詩、伝統伎芸「都をどり」専用劇場の耐震補強計画です。1913 年の創建以降、増築・改修を繰り返しながらも当時の姿を保ち、2001 年、国の登録有形文化財に指定。その後、耐震上の問題から一時閉場を余儀なくされていましたが、今回、舞台・客席を有する本館と付帯する玄関棟の耐震補強改修を実施し、2023 年2 月に開場しました。隣接する技芸学校(芸子・舞妓の稽古場)は、既存施設を撤去し、本館に増築する計画とすることで、劇場・学校機能の向上も図っています。

本館客席(客席側)
本館客席(客席側)。文化的価値が高いと評価されたため、耐震補強部材が内部に露出しない改修計画を採用
1953年大規模改修工事竣工時の本館客席
今回の耐震補強実施前の本館客席
1953年大規模改修工事竣工時の本館客席/今回の耐震補強実施前の本館客席   
玄関棟大広間
玄関棟大広間。既存壁を耐震化することで改修前の姿を保存
本館背面に増築された技芸学校
本館背面に増築された技芸学校。
建物配置は歌舞練場竣工時の記録・図面を参照し決定した

文化財としての価値を維持した耐震補強

主要な軸組は創建時の状況をよく保存していたため、通常の大規模木造における耐震改修とは異なり、既存軸組の劣化補修を行いながら鉄骨を付加する形式で耐震補強を行っています。既存部材のひずみを現場で確認しながら施工する必要があったため、それぞれの補強部材をミリ単位で調整するなど、極めて難易度の高い工事となりました。

耐震補強工事中の本館客席
耐震補強工事中の本館客席。既存部材を残置したまま耐震補強部材の取付けを実施
耐震補強断面図耐震補強後の小屋裏の様子
耐震補強後の小屋裏の様子
耐震補強図
小屋組み補強(上)/新設鉄骨ガーダー梁(中)/新設補強フレーム(下)

工事概要

発注者 学校法人八坂女紅場学園
所在地 京都府京都市東山区
竣工

2022年11月

延面積 5,292.99㎡
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