荏原 畠山美術館
WORKS

「やきもの」で覆い、茶道美術館を象徴する外観とした新館。現代風なまこ壁の瓦の風合いを「泥漿鋳込み成形」「還元焼成」による陶板で製作した
外観も展示空間も変えずに断熱性能を向上

1964年に竣工した本館は内観・外観共に継承しつつ、設備や展示機能の更新、耐震補強、断熱改修などを行った
本館は畠山一清が自ら設計したと語り、特に2 階は書院風の格式高い空間に茶室と庇を設えた他に類のない展示室です。柱や長押には最高級の木材が使用され、経年により豊かな風合いと美しさを湛えていました。このこだわりの詰まった展示空間を継承するため、外観の特徴である庇を利用し、1 階を内断熱、2 階を外断熱に切り替えました。

創設者・畠山一清の美術館開館の一文から集字した館銘板(右上)
と一清のサインをもとにデザインしたロゴ(左)
即翁の想いを継承した本館と新たな出会いを生む新館

本館展示室。茶室にいるような空気感と端正な意匠の継承、洗練を目指した

Before

公開承認施設を目指した新館展示室。展示物のみが
引き立ち、鑑賞を妨げるノイズがない環境を実現

1964 年、実業家・畠山一清(即翁)が創設した美術館のリニューアル計画。「即翁衆と愛玩す」──茶の
湯にまつわるコレクションを多くの人と共に楽しむ伝統を受け継ぎ、未来への革新を試みました。かつ
て即翁がつくりあげた、唯一無二の既存本館をより一層磨き上げ、新たな美の体験や交流を提供する新
館を増築。日本庭園に点在する文化財の茶室と共に、庭屋一如* で多様な美の世界のニーズに応えていく
美術館に生まれ変わりました。
*庭屋一如 = 庭と建物が一つの如く、融合している様子

改修前後配置図。敷地内の茶室等のうち、文化財的価値の高い3棟を港区指定文化財として残し、他は移築、解体。新館の床面積をできるだけ広く確保した
工事概要
| 発注者 |
公益財団法人荏原畠山記念文化財団 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区 |
| 竣工 |
2024年3月 |
| 延面積 |
2,935.49㎡ |
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