ファシリティマネジメント導入物語

ファシリティマネジメント導入物語

ファシリティマネジメントを導入する背景もタイミングも三者三様。
ここでは、『大成建設のファシリティマネジメント(FM)』の“-”、“+”、“∞”を軸に3つのストーリーを展開していきます。
※内容はすべてフィクションであり、登場人物も架空のものです。

第1話 課題を発見し解決するファシリティマネジメント

複合ビルの建設を決意。だが、できた後は?

長年、○○市でA病院を経営してきた院長の安田だが、施設の老朽化が目立ってきたところに、所有する病院敷地に対して区画整理の話が持ち上がった。この機会に建て替えを検討することにした。そこで、どうせなら敷地の有効的な活用ができないかと、大成建設に相談。様々なアイデアを提案してもらった結果、安田は約8,000m2の複合ビルを建設することを決断した。1、2階は病院だが、収益をあげるため上の階は有料老人ホームとクリニックモールとして、事業者に賃貸することにした。

複合ビルの建設を決意

しかし、なにぶん安田にとって、賃貸事業を手がけるのは初めてのこと。ビルを建てるのは建設会社に任せておけばいいが、事業において自身が果たすべき役割がまったく見えてこない。「管理は?運営は?」などの疑問ばかりが頭に浮かんできてしまう。建設会社が管理業務について支援してくれるなど聞いたことがなかったのだが、軽い気持ちで相談してみたところ、「それなら」とライフサイクルケア推進部が対応してくれることになった。なんでも大型テナントビルなどの開発に不慣れなオーナーのために、施設の運営がスムーズに移行できるよう、以前から支援を行っているというのだ。

長期の運用を想定し、管理の重要性を痛感

打ち合わせに現れたライフサイクルケア推進部の遠藤に、安田は率直に切り出した。「遠藤さん、ビルの運営はどのようにすればいいんでしょうか? とにかく、わからないことだらけなんですよ。」すると彼は今回のプロジェクト管理にあたって、「まずは複合テナントビルとしての管理運営計画、管理組織や管理ルール、管理費といった項目の検討が必要となります。」と簡潔に説明。そして「新たにビルを建設する際、どうしても建てることのほうに目が行きがちですが、建てたあとの運用は30-40年ぐらい続きますからね。」と付け加えた。「確かにその通りだ」と遠藤の言葉に深く頷いた安田は、運営の重要性をあらためて痛感していた。

円滑な管理運営のために、様々な方策を検討

その後、安田からの要望を十分にヒアリングした遠藤は、設計事務所や維持管理会社とも打ち合わせを重ね、管理運営計画をはじめとしたテナント運営に必要な様々な事柄を順次決定。また完成後に発生する施設の費用を、様々な角度から検証した。支出を最小に抑えて収益性を上げることは、賃貸事業の要なのである。
さらに遠藤は、テナント管理をスムーズに行うために、大成建設が独自に開発した「CAFM」を提案した。CAFMとは膨大な図面をはじめ、施設の様々な情報をパソコンで管理し、管理運営を効率的にする優れたツールで、大手のデベロッパーでも採用されているという。

確かに遠藤のこれらの提案は、安田にとって非常に心強い。それと同時に、遠藤がこちらのことを親身に考えてくれていることが、十分過ぎるほど伝わってきたのだ。それだけに安田は遠藤の申し出を快く受け入れることを決めていた。

円滑な管理運営のために、様々な方策を検討

さらなる収益性の向上を目指して・・・

完成から2年。遠藤の協力もあってビルの運営はスムーズに行われていたのだが、安田はさらに収益性を向上させたいと思い始めていた。というのも、エネルギーコストの増加や今後の経年劣化の進行による出費も考慮し、今のうちから出来る限りの支出を抑えたいと考えていたからだ。

複合ビルの建設を決意

早速、安田が遠藤に連絡を取ると、遠藤は「では運用面からのエネルギー診断と管理診断を実施してみましょう。」と提案。建物および設備の現状を調査し、省エネの度合いを評価するエネルギー診断と、施設の利用頻度などから管理仕様を見直す管理診断は、いずれも施設の品質を保ちながら無駄なところを洗い出すための、多角的な評価ができる診断方法であるらしい。

丸1日の実地調査によって、いくつもの設備運転方法の改善案から、光熱水費を5%削減できる見込みがついたという。なんでも遠藤に薦められた、CAFMに蓄積された2年間のエネルギーデータが光熱費削減に大いに参考になったということだ。さらに、管理仕様の変更でメンテナンス費もおよそ10%削減できるそうだ。投資は殆どゼロにも係わらず想像以上のコストの削減に、思わず満面の笑みを浮かべる安田だった。

第2話 強みを活かすファシリティマネジメント

つかめぬニーズと見えない方向性

医薬品メーカーB社で懸念されている案件。それは会社にとって生命線ともいえる、研究所の老朽化と耐震性への不安だった。その対策プロジェクトの担当者に任命されたのが経営企画部の岸本なのだが、そもそも判断材料が乏しい現状では、建替え、リニューアル、移転のどういった方向で計画を進めればいいのか、決断を下すことができない。また、各部署の知り合いに話しを聞いてみても、様々な要望が上がるばかりで、まったく施設方針がまとまらず、社内の意見調整の難しさを早々と痛感していた。そこで、以前、別の自社ビルの設計・施工を大成建設に依頼したことがあったので、岸本は今回の件も大成建設に一度相談してみることにした。

つかめぬニーズと見えない方向性

明確なコンセプトを打ち出す手法

打ち合わせにやって来た大成建設の岩崎に、岸本は頭を悩まされている現状について説明。すると岩崎は、大成建設独自のインタビュー手法だという「T-PALET」を提案した。なんでも臨床心理学をベースとした評価グリッド法(パーソナルなインタビューで、人間が何を知覚して、どのような評価をくだしているか、という認知構造を表現できる手法)をさらに発展させた手法で、関係者が抱える潜在的ニーズを抽出できるというのだ。とはいえ、果たして本当にその手法で方向性が見えてくるのか、しかも社外の人間に社内の調整ができるのか、との疑問を口にした岸本だが、「逆に第三者の我々が話を伺うほうがいいんですよ。しがらみや損得がまったくありませんから。それに客観的にファシリティのプロとして、何がベストかを見極めることができますし。」という岩崎の言葉に不安も解消。早速、「T-PALET」の実施を依頼することにした。

プロのスキルに触れ、高まる期待

プロのスキルに触れ、高まる期待

「研究所に勤務する社員を10数人、年齢や性別、部署などに偏ることなく人選してください。」という岩崎からの要望に沿って、岸本はメンバーを選出。そうして1人につき約45分のインタビューが実施され、後日岩崎から「T-PALET」の報告書が提出された。自らが行ったヒアリングは、あらゆる意見を聞かされて混乱するだけだったのだが、この報告書には岸本が引き出すことができなかった様々な潜在的なニーズや、業務ベースや環境ベースごとの現状や問題点が整理され、施設計画の方向性がわかりやすく提示されていた。「これは、あくまでもニーズです。ここから何を取り入れるかは、ディスカッションしながら決めていきましょう。」

この報告書をもとに岸本と岩崎は、社内のプロジェクト関係者と議論を重ね、その結果、研究所のリニューアルを前提に計画を進めていくことを決定。さらに、研究所の劣化状況や耐震性能などを確認するハード診断が行われ、該当施設のリスクなどがまとめられたエンジニアリングレポートが岩崎から提出された。

そして研究所のリニューアルに関するシナリオも岩崎から受領。そこには「T-PALET」で明確になったニーズとそのコンセプトが、実際の利用シーンを想定したストーリーとなって表現されていた。例えば「20人ほどが自由な雰囲気で打ち合わせができる会議室は、壁面すべてがスクリーンにもホワイトボードにもなり、プロジェクターで投射した画面に書き込むこともできる。」と、一読するだけで情景が湧き上がってくるような内容だった。

「T-PALET」によるニーズの抽出、議論を積み重ねることによる方向性の決定、そして関係者がイメージを共有できるシナリオの作成。「コンセプト&プランニング」と呼ばれる大成建設のこれら一連の手法に、十分な手応えを感じ取った岸本は、知らず知らずのうちに期待に胸を膨らませていた。

その後も、戦略・計画レベルでの大成建設のサポートにより、研究所のファシリティ戦略策定や最適な計画条件などが着々と完成。岸本は、これまでの仕事ぶりを評価し、これから行っていく設計や施工も、引き続き大成建設へ依頼することに決めた。

完成後、思わぬ効果まで派生

企画・設計から施工までを大成建設に一貫して任せたことで、コンセプトなどがブレることもなく、新しく生まれ変わった研究所が完成。研究所で働く社員への事後調査の結果、評判も上々のようだ。おまけに嬉しい誤算というべきか、「T-PALET」の参加者はもちろん、他の社員の仕事に対するモチベーションも上がっているらしい。岸本は、自身の業務の負担が軽減されたことは言うに及ばず、最適ともいえるソリューションが実現したことを、しみじみと実感。岩崎からの「今後も定期的な「T-PALET」を実施してみてはいかがでしょうか?」との提案を喜んで受け入れたのは言うまでもない。

完成後、思わぬ効果まで派生

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