ファシリティマネジメント導入物語

ファシリティマネジメント導入物語

第3話 継続的発展を支えるファシリティマネジメント

地震を想定したBCPの策定命令。しかし・・・

image

家電メーカーC社の総務部に勤務する山田に、突然与えられた任務。それは「事業継続計画(以下、BCP)の策定と同時に、地震対策についての具体的な対策を立案せよ」という指示だった。なんでも社長が、近年増加している大規模地震の発生と、それを懸念する取引先からの強い要請もあって、BCPの策定が急務であると思い至ったというのだ。

確かに山田も、BCPに対する認識を多少なりとも持ち合わせていたのだが、いざ自分が担当するとなると、やはり話は違ってくる。まず、着手しようにも、具体的に“どこから”、“どうやって”、“どこまで”を考慮すればいいのかが、まったくわからない。さらに担当といっても、BCPの策定に専念できるわけもなく、通常の業務に追われているのが実情だ。社内で協力者を募ろうにも経験者はおらず、外部コンサルタントは数千万円の費用がかかると聞いたので相談すらしていない。孤立無援。不安ばかりが募るスタートとなった。

信頼できるパートナーとタッグ結成

そんな先行きの見えない中、山田はインターネットで「地震」や「BCP」などのキーワードで検索をしたところ、大成建設の「耐震ネット」が目に留まった。地震以外にもBCPに関するコンテンツも充実していたため、「ここなら」と思えた山田は早速、連絡を取ることにした。

翌日、現れた大成建設の伊藤は、あらためてBCPの概要と、大成建設がサポートできる業務内容を説明。それは内閣府の「事業継続ガイドライン」に沿ってのBCP文書の作成と、BCP上の重要業務に関わるリスク評価を踏まえた減災のための事前対策の提案であった。現状を鑑みても、経験の少ない社内のマンパワーだけでは不十分。そのうえ震災が起きた際の被害予測や、重要業務を行う施設とその機能維持に対するリスク評価などは、自分たちの手に負えるはずもない。「ここは私たちの得意分野ですし、建設会社にしかできません」。伊藤の力強い言葉を聞き、自らの直感が正しかったと確信した山田は、大成建設への依頼を決意した。

image

まずクリアすべきは、社内の方針・体制づくり

山田は伊藤と打ち合わせを重ねながら、本格的なBCP策定に向けての準備を着々と進めていった。まず、BCPの策定範囲の決定では、伊藤からの「“守るもの”と“守る時間”に優先順位をつけるのが絶対的な原則ですよ。」というアドバイスに従い、何より守るべきは自社の主力製品のラインを保有している△△△工場だと判断。この製品は世界シェアも高く、製造が停止すると多くの取引先に多大な影響を及ぼすためだ。

image

続いて、伊藤からの依頼でもあったのだが、社内でのプロジェクト体制の構築に取りかかった。これはスムーズにBCPを進行させることと、広く社内にBCPを浸透させることが目的であった。山田は、経営企画部の担当役員、自社の事業活動に欠かせないIT関連を管理する情報システム部の部長、△△△工場の工場長といったメンバーを選出した。伊藤という信頼できるパートナーに加え、社内にプロジェクトチームが誕生したことで、山田はこれまで以上に精力的に仕事に取り組み、重要業務の特定や目標復旧時間などを次々と決定していった。

スムーズなBCP策定は、専門家との連携があってこそ

△△△工場の被害予測と事前対策の立案は、専門である伊藤の役割だ。「大成建設の簡易評価システムは、地震による施設の損失率や使用停止日数が算出できるため、初期の段階で大枠を把握するのに優れているんです。」とのこと。この評価によって●●地震の発生を想定し、当該地域は震度6強に耐えうる事前対策を施すことが決まった。

引き続き、△△△工場の設備や天井、OAフロア、パーテーションといった非構造部材の耐震性、および動線などの現地調査と、社員へのヒアリングを実施してもらった伊藤からは、リスク評価に関する報告書が提出された。そこには震度6強の地震発生時の業務への影響度、復旧の難易度などが、各3段階評価されたリスクマップとしてまとめられており、減災対策の優先順位が一目瞭然となっていた。早速、山田らプロジェクトチームは、その報告書をもとに順位付けを検討し、結果を伊藤に報告。伊藤は、リスクの高い項目から順に対策案を立案するとともに、対策にかかるコストと実施に向けての計画を提示。また、常に稼動している工場で、どのように改善、改修していくのか、建設会社ならではのアイデアも提案した。

ついにBCP文書が完成。だが、これからが始まりだ

こうしてBCP文書は無事に完成。今後はこの文書をベースにマニュアルや手順書を作成し、訓練を重ねて広く社員に浸透させていかなければならない。そして大成建設が提示してくれた対策案は、その優先順位ごとに施設戦略に組み込み、年度計画を立てて実施していく予定だ。

今回実施したサービス

  • 事業継続計画(BCP)策定支援 事業継続計画上の重要業務に不可欠なファシリティについてのリスク評価から、具体的な減災対策を立案します。事業継続計画(BCP)策定支援
  • ハード診断(建物診断/耐震診断/エネルギー診断) 建物および設備の現状を調査し、建物の劣化状況、耐震性能、省エネ度合などの診断・評価を行います。
image

関連情報

本ウェブサイトでは、お客様の利便性の向上及びサービスの品質維持・向上を目的として、クッキーを使用しています。
本ウェブサイトの閲覧を続行した場合は、クッキーの使用に同意したものとします。詳細につきましては、本ウェブサイトのクッキーポリシーをご確認ください。