学校法人早稲田大学 早稲田キャンパス2号館・西早稲田キャンパス

歴史ある建物の伝統を守り、
安全で使いやすく進化させたい。

学校法人早稲田大学 早稲田キャンパス2号館・西早稲田キャンパス

お困りごと

「東京都歴史的建造物」第1号に指定されている早稲田キャンパス2号館(旧図書館)と、理工学術院の拠点である西早稲田キャンパス内の3つの校舎に耐震補強を行いたい。
創建当時からの思想と伝統を受け継ぐ建物に関してはそのままの形で保存したい。
建物内外への影響を最小限に、耐震補強を行う良い方法はないだろうか。

成功事例

学校法人早稲田大学様が運営する早稲田大学は、日本の近代化が進む1882年(明治15年)に創設されました。歴史と伝統を誇る早稲田大学の各キャンパスには、大隈記念講堂をはじめ歴史的・文化的価値の高い建物がいくつも存在します。

早稲田キャンパス2号館(旧図書館)
早稲田キャンパス2号館(旧図書館)
西早稲田キャンパス56号館
西早稲田キャンパス56号館

全国に9つのキャンパスを運営しておられる中で、早稲田キャンパス2号館と西早稲田キャンパスの56号館、58号館、65号館は、建物の耐震性能を向上させるために耐震補強を行う必要があり、2010年から2012年にかけてその計画が進められました。

学校法人早稲田大学 キャンパス企画部 企画・建設課長 北野 寧彦 様

学校法人早稲田大学 キャンパス企画部 企画・建設課長 北野 寧彦 様

早稲田キャンパス2号館と西早稲田キャンパスの56号館は、創建当時からの思想と伝統を受け継ぐ建物であり、外観を損なわない補強方法が必要でした。また、西早稲田キャンパスの3つの校舎には、学生のための実験機器などが大量に設置されており、建物内で工事を行うことは困難でした。こうした背景から「建物の内部・外部への影響を最小限に耐震補強を行う」ことを第一に、どのような補強方法が考えられるのか検討しました。

大成建設は、オリジナルの耐震補強部材を上手に活用しながら、建物が保有する歴史と伝統を保存しつつ、建物の安全性・機能性を向上させるプランニングを行ってくださいました。また、施設を利用する人々の利便性を考慮した工事計画を提案してくださるなど、予想以上のソリューションを期待できましたので、数社によるコンペの結果、大成建設に発注することに決めました。

ソリューション1:“使える”オリジナル耐震補強材で解決!
─「東洋一」と称えられた図書館をリニューアル

「使いながら」「保存しながら」近代建築を再生

早稲田キャンパス2号館(旧図書館)
早稲田キャンパス2号館(旧図書館)
図書館当時の閲覧室
図書館当時の閲覧室
會津八一記念博物館内
會津八一記念博物館内

早稲田キャンパス2号館は1925年(大正14年)に「早稲田大学図書館」として建設されました。収容人数500名を誇る大閲覧室は大正末期の図書館としては有数のもので「東洋一」と称えられました。
1998年、會津八一記念博物館として改修され、1999年には「東京都歴史的建造物」第1号に指定されました。現在は大隈記念講堂、演劇博物館とともに早稲田大学のシンボルとして、歴史・文化史資料を発信する貴重な場となっています。

早稲田キャンパス2号館の耐震性能を向上させるに際して、建物の歴史的・文化的価値を損なわないよう、「建物外部への補強は行わず、内部空間にのみ最小限の補強を行うこと」を最優先課題としました。そして、建物を3つのゾーンに区分し、それぞれの用途や特性に合わせた補強方針を計画しました。

新発想から生まれた「書籍を収納できる」耐震補強壁

書庫にあたるゾーン(地上7階建)には、大成建設が新たに開発した、書架の機能を兼ね備える耐震補強壁「T.T-Wall」を採用しました。「T.T-Wall」を設置できる場所の自由度を高め、その特性を活かせるよう、例えば「窓を塞がないための開口スペースを確保したタイプ」、「通路幅を兼ね備えたタイプ」など4つのタイプを考案し、建物内の必要な箇所に相応しい形で組み込んでいます。

オリジナル“書架型”耐震補強壁「T.T-Wall」
オリジナル“書架型”耐震補強壁「T.T-Wall」

「T.T-Wall」は、図書室内で施工するため、火を使って接合する必要が無く、また、湿気をなるべく出さずに組み上げることができるよう鋼板で構成されたユニット形式とし、書庫内での安全でスムーズな工事を実現しました。

大成建設 設計本部 構造計画部 耐震計画室 鈴木 裕美

大成建設 設計本部 構造計画部 耐震計画室 鈴木 裕美

書庫ゾーンは、膨大な書籍を収納する書架という用途であるために積載重量が重くなるため、事務室など他のゾーンよりも多くの耐震補強を行う必要がありました。工事中は「蔵書の移動を最小限にとどめる」、「利用者が施設を使えるようにする」こと、そして、「工事後も蔵書数が減らないようにする」というお客様の要望にかなう方法を検討する中で、創建当時の設計も書架の柱が鉄骨の構造材で作られブレースもついていることに気付きました。

今回もその思想を伝承すべく書架型の耐震補強壁「T.T-Wall」を考案できたことをうれしく思います。

近代建築が受け継ぐ伝統を尊重しつつ、その安全性や機能性などお客様の要望を取り入れ総合的にバリューアップすることも、私たち総合建設会社の使命と考えます。

学校法人早稲田大学 キャンパス企画部 企画・建設課長 北野 寧彦 様

「T.T-Wall」を採用することで、工事中も閉館することなく、また蔵書の移動や管理の手間が大幅に省かれました。収納できる蔵書スペースも若干増え、とても利便性の良い家具機能を備えた耐震補強壁であると実感しています。一般的な耐震補強部材とは異なり、書棚という機能を付加していること、また、博物館の保存ゾーンには補強を施したことが分からないほど、建物内外において違和感の無い仕上がりとなっており、満足しています。

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