歴史のある建物の伝統を守り、
安全で使いやすく進化させたい。
ソリューション2:“使える”オリジナル耐震補強材で解決!
─建物の「外側だけで」工事を完結!3つの校舎をリニューアル
建物デザインはそのままに、建物を使いながら耐震補強
西早稲田キャンパスの56号館は、早稲田大学の卒業生であり著名な建築家として知られる安東勝男先生、松井源吾先生、穂積信夫先生によって設計され、1963年(昭和38年)に完成しました。
建物の耐震性能を調べたところ、新耐震基準値を確保するには耐震補強を行い、建物の耐力を2倍に上げる必要があると分かりました。
創建時から56号館に受け継がれる設計の思想を尊重するため、建物の外観は一切変えずに耐震補強を行うことを最優先に考えつつ、工事による内部空間への影響を最小限におさえる補強方法を検討しました。具体的には、既存の外装フレームの構造形式をそのまま生かし、フレームの内側に当社が独自に開発した耐震補強技術「T-Grid」を組み込む計画としました。




さらに、既設の窓台を利用して建物の外側からのみ工事を行うという施工方法を実施することにより、建物の外観を保存しながら耐震性能を向上させるとともに、短工期・コスト削減にもつながりました。

一方、58号館と65号館の建物内にも56号館と同様に多くの実験室や研究室が設けられており、各室内には実験機材などが大量に設置されているため、建物の内部空間には可能なかぎり手を加えずに耐震補強を施すことが求められました。


3つの校舎それぞれに求められる要素をお客様とともに話し合ったうえで、設計(意匠設計と構造設計)や施工など各専門部署が協働し、一つ一つの建物における安全性と機能性の向上を図りました。
街とつながる「早稲田の森」を計画
西早稲田キャンパスは新宿区の「新宿区みどりの基本計画」において、区内に残存する7つの都市の森のほぼ中心に位置します。その基本計画の中で「風のみち」と称される明治通り沿いに建つ65号館の外壁に、区内に自生する地域種のみを用いて壁面緑化を行い、みどり豊かな地域との接点を新たに設けました。

学校法人早稲田大学 キャンパス企画部 企画・建設課長 北野 寧彦 様
早稲田キャンパスは新宿区の「七つの都市の森」に位置づけられており、提案していただいた「早稲田の森」のコンセプトは、私たちの考えるキャンパス整備の方向性を見事に具現化するものでした。
明治通りに面した65号館の外壁には配管やダクトが露出していましたが、今回のリニューアルで外壁にメンテナンス性の向上という機能を兼ね備えた化粧を施し壁面緑化を行ったことにより、明治通り沿いにそびえるキャンパスの顔としてふさわしい景観が整いました。とても満足しています。
工事概要
発注者 | 学校法人早稲田大学 |
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所在地 | 東京都新宿区大久保3-4-1 |
竣工 | リニューアル:2012年3月 |
URL |
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大成建設 設計本部 建築設計 第五部設計室 矢崎 裕信
3つの校舎それぞれに必要な補強量を計算し、建物の形状やキャンパス内における立地など校舎ごとに異なる特徴を鑑みたうえで、「どのような耐震補強技術を、どこに、どのような形で採用すれば、お客様のご要望や改善課題をベストな方法で実現できるか」について考慮しながら多数のプランを検討しました。
56号館、65号館に採用している当社独自の耐震補強技術「T-Grid」と「T.T-Wall」は、透過性に優れ、窓などの開口部にも適用できるため採光や通風を確保できるなどのメリットを有しています。採用いただいたお客様からは、「耐震補強を行うことで多くの窓を塞がなければならないと思っていたが、その必要が無いと分かり安心しました。リニューアル後も変わらずに室内が明るく、過ごしやすいです。」と好評いただいています。