サンシャイン水族館 ~天空のペンギン~
天空のオアシス第二章
リニューアルの経緯
本プロジェクトは前回の大規模リニューアルの翌年(2012年)からブレインストーミングを始めました。メンバーは前回と同じく水族館プロデューサーの中村元氏、水族館の飼育員の方々、設計者と施工者でスタート。コンセプトは「天空のオアシス」第二章とし、屋外エリアの出口側を全面リニューアルしました。単純な第一章の延長ではなく、開放感のある緑と水を印象的に使った水槽をメインとし、ここでしかできない、初めての展示にこだわっています。
世界初の展示
世界初の展示となった池袋の空を飛ぶかのような「天空のペンギン」や、実際に生息する草原をイメージした「草原のペンギン」、また、渓流のカワウソの生態を観察できる「カワウソたちの水辺」、淡水魚の「きらめきの泉」、ペリカンを下から眺める「天空パス」の5つの展示を新たに作り、その場にふさわしい植栽を配置することで、「天空のオアシス」は完成しました。「天空のペンギン」に太陽光が入り込み、きらきらときらめく波の間をペンギンたちが泳ぎ回るさまは、サンシャインの名にふさわしい光景となっています。
光と音の演出
昼間だけではなく、ナイトアクアリウムとしての照明計画も採り入れました。青いLEDを中心にした照明が、水の揺らぎと相まって幻想的な雰囲気を作り出します。また、3D音響とハイレゾシステムを組み合わせた、世界初の環境音場を導入し、順路に従って歩くと、虫の音や波の音が場所に応じて変化する仕掛けとなっています。音響・音源設計はスペース・ラボのサウンドクリエイター・瀬戸勝之氏に協力をお願いしました。
構築計画
天空のペンギンの前面のアクリルパネルは、厚さ13㎝、幅約12mとなっていて、現場で重合しています。オーバーハングするこのアクリルを直径40㎝の鋼管で支えることで、視界を遮らない構造体としました。天空パスは平面半径約21mの円弧形状で、約2m間隔のCT形片持ち梁でアクリル水槽を受けています。いずれの架構も観客の視線に配慮しながら、臨場感あふれる空間を実現しています。
下階の構造に捉われない自由な水槽配置と形状の架構を支えるために、下階梁の直上に大引を設置し、根太を無数に渡しました。ウッドデッキの下は、配管と配線に加えて、鉄骨の根太と大引が複雑に配置されています。また、40年の間に改修を繰り返し、その度に厚くなった保護コンクリートは所定の厚さに戻し、不要な設備機器類も撤去することで、今回のリニューアルと釣り合う荷重を捻出し、今までにない大きな水槽が実現できました。
工事概要
発注者 | 株式会社サンシャインシティ |
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所在地 | 東京都豊島区東池袋 |
竣工 | 2017年7月 |
延面積 | 585,872.43m2 |
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