創業50年となる老舗企業の新工場を2拠点に再建 #3

ソリューション2:高鮮度なまま水産物を選別・加工する本社工場
高鮮度・高生産・高効率
魚の鮮度を守るため、高効率な動線を確保することを第一に考えて生産エリアを計画しました。加工工程の異なる水産物を区別して効率よく作業を進められるよう、春漁で獲れた水産物を扱うゾーンと、夏と秋・冬漁で獲れた水産物を扱うゾーンに分けて構成しています。これにより、生産効率の向上と作業環境の改善、省エネを実現しました。

春漁で獲れる小女子、イサダの加工ラインは、原料投入から洗浄、乾燥までを自動化ラインで構築しました。乾燥時に排出される粉塵対策として集塵室を設置。排出された粉塵を直接外に出さない工夫で、近郊に配慮するとともに、粉塵回収のメンテナンス性も向上させました。


夏と秋・冬漁で獲れた水産物を扱う魚選別ラインは、魚槽タンクから選別、箱詰めまでを自動化ラインで構築しました。魚槽タンクの水は井水を利用し、環境に配慮するとともにランニングコスト削減にもつながりました。
災害に強い工場
地震や津波などによる被害を最小限に抑えるため、嵩上げを2m行い、津波の耐力設計を工場の腰壁に採用しました。万一の有事に備え、1m程度の津波があった際に逃げられるスペースとして屋外避難階段を設置し、また、電力系のキュービクル等は屋根上に集約するなどBCP対策を行っています。

株式会社木の屋石巻水産 製造部長 兼 本社工場長 平塚 善海 様
「一刻も早く事業を立ち上げたい」という私たちの要求どおり、大成建設は建築とエンジニアリングの専門部隊が協同して、約7か月という短工期で本社工場を建設してくださいました。時間的な余裕のない中でも、提案内容に様々な要素を盛り込み、何よりも石巻の復興に役立ちたいという思いが強く伝わる提案をしてくださいました。機能的で働きやすい工場が完成し、このような工場で働けることに対して、皆モチベーションが上がっています。
工事概要
発注者 | 株式会社木の屋石巻水産 |
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所在地 | 宮城県石巻市魚町一丁目11-4 |
竣工 | 2013年3月 |
延面積 |
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URL | https://store.kinoya.co.jp/ |
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大成建設 エンジニアリング本部 渡部 隆一
本社工場をつくる上では、魚の鮮度を逃がさずに各工程をスムーズに行える環境を整えるため、「スピーディー」をキーワードに掲げました。
例えば、魚が入荷してからの選別ラインでは、なるべく人の手を介さずに、新鮮なままの状態のものを素早く作業できるよう自動化ラインを構築し、さらに、すぐさま魚を凍らせられるよう、急速冷凍に至るまでの工程を短い動線で確立しています。