株式会社廣貫堂 呉羽工場
お困りごと
グローバル受託企業NO.1を目指すため、3極GMPに準拠し、将来の拡張性を考慮した固形製剤に特化した新工場をつくりたい。どのようなプランニングにすれば、理想の工場を実現できるのだろうか。
成功事例
明治9年に創立し、創業135年の歴史を誇る株式会社廣貫堂様。
国内はもとより海外に向けた、医療用医薬品、OTC、OEM等の医薬品・医薬部外品の製造販売を行っており、富山県内に本社工場（富山市：マルチ生産対応固形剤工場）、滑川工場（滑川市：ドリンク剤生産工場、2003年完成／大成建設 設計・施工）が稼動しておりますが、新たに呉羽工場（富山市呉羽）が2010年4月に完成しました。
2008年5社によるコンペが行われ、大成建設は、「グローバル受託企業NO.1」という廣貫堂様の経営ビジョンに対応する工場実現に必要とされる「3極GMP対応」、「フレキシブルな生産体制」、「拡張性の高い建物」などのキーワードにお応えできる提案をし、プランニングの内容や具現化するための総合力が高く評価され、当社に発注していただきました。
ソリューション
3つのコンセプトを具現化─グローバル化・高生産性・将来に備えた拡張性
日米欧3極GMPに準拠する製造環境
- 入荷室と出荷室を分離し、原料・包材・製品のクロスを回避。製品の誤出荷を防止。
- 製造エリアと非製造エリアのクリーン度をE～Hの4段階のグレードに分け、スムーズな動線計画を実現。
- 中間製品を自動にて無人搬送する「3次元フロービンシステム」を導入。各製造室における人・物の動線を完全に分離し、交差汚染を防止。
- 清浄廊下と製造室の室圧・気流の方向を管理する空調システムを構築し、クリーンレベルを維持。
- 製造エリア毎にエアーロックを設け封じ込めを実施。
高生産性
- 3次元フロービンシステムを採用することで省人化・省力化を実現。製造工程毎に3種類の容量のフロービンを使い分けることで生産を効率化。工程内スタッカークレーンにより多数の製造室と連結することが可能になり搬送の効率化も実現。
- 製造エリアでは大ロット対応の生産ラインを構築。開発エリアでは小スケールでの製品開発や治験薬製造を考慮したスペースを確保することでフレキシブルな生産体制を構築。
将来に備えた拡張性
- 現在は生産ラインを1ライン（年間10億錠の生産能力）のみ構築しているが、将来的には4ラインに増やし、年間最大40億錠を生産できるスペースを未実装エリアとして2パターン用意。
- クリーンルーム化した未実装エリアは速やかに生産を可能とするエリアとして、建築・設備的にも未実装として残したエリアは将来フレキシブルに生産システムを構築できるエリアとして確保。
大成建設担当者より
北信越支店富山営業所 倉林 秀幸 営業所長
廣貫堂様の滑川工場の実績も含め、これまでの医薬品施設における当社の実績が安心と信頼につながったのだと思います。「グローバル受託企業NO.1」を目指される拠点として誕生した呉羽工場から、世界に向けて技術や製品が発信されていくことを期待いたします。
北信越支店富山営業所 松嶋 重信 参与
必要な機能だけをコンパクトに集約できた工場が完成したのではないでしょうか。呉羽工場には新しく開発した「バルーン式緩衝シュート」を導入していただきました。
この機器は2009年のインターフェックスで実機展示した際に好評だったこともあり、錠剤の割れ欠けを防止したいというニーズにお応えするため、今回のプロジェクトでご提案し、導入していただきました。従業員の方々からは「錠剤の落下衝撃がソフトで良い」という感想をいただいております。
工事概要
| 発注者 | 株式会社廣貫堂 |
|---|---|
| 所在地 | 富山県富山市池多1602-1 |
| 竣工 | 2010年4月 |
| 延面積 | 13,754.7m2 |
| URL |
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エンジニアリング本部医薬品施設グループ 小牧 啓志 シニア・エンジニア
廣貫堂様のプロジェクト担当者の方々と密にコミュニケーションが取れたプロジェクトでした。呉羽工場は大ロット対応が可能な工場にするという目的があり、2080リットルの大容量フロービンも導入しています。同じ設備で容量の異なるフロービンに対応でき、原料の混合具合や成分の均一性などの品質も確保できるシステムづくりに納得がいくまで一緒に検証を繰り返しました。妥協なくスケジュールを確実に達成していくことで我々への信頼感を高めていただくことができました。
工場が完成してから製造ラインが稼働するまでに約5ヶ月という早い立ち上がりを実現できたこともプロジェクトのポイントの一つです。