高いコスト競争力を実現する「石狩データセンター」

2011年11月
2011年11月15日、さくらインターネット様の石狩データセンター(大成建設 設計・施工)がついにオープンしました。現地で行われた開所式には多くの関係者や報道陣が出席し、その様子は各種メディアでも大々的に取り上げられ、IT業界のみならず様々な業界から注目されています。

さくらインターネット様は「国内のITコストを世界水準並みに低減させる」という将来ビジョンの実現を目指し、北海道石狩市という広大で冷涼な地にデータセンターを新設する構想を、2010年6月に正式発表されました。
発表から1年5ヶ月を経て完成した石狩データセンターは、外気温の年間平均が7℃という冷涼な気候を100%活用する「外気冷房」を導入するなど、最先端のソリューションによって圧倒的な低コストを実現する新しいデータセンターです。

(左から大成建設 副社長 執行役員 多田博是、
北海道知事 高橋はるみ様、
さくらインターネット株式会社 代表取締役 社長 田中邦裕様、
石狩市長 田岡克介様)
都市型モデルに比べ、消費電力を4割カット!!
「石狩モデル」を確立した、外気冷房の仕組み
石狩データセンターに導入した外気冷房は、建物外から取り込んだ低温な外気と、サーバからの排熱を混合し、温湿度をコントロールしたうえで最適な冷却風をサーバルームに供給するシステムです。

サーバルームへの吹き出し推奨温度は18℃~27℃のため、石狩では真夏の短期間を除いて、ほぼ通年で外気冷房が可能となります。
これにより、
- 消費電力削減
- 空調コスト削減
- 省エネ効果アップ
を実現することが出来ます。

サーバからの排熱を逃がさない!「排熱ダクティング方式」を採用
サーバから発生する熱がサーバルーム内に逃げてしまわないよう、サーバラックの上に段ボールダクト(段ボールを主材料とした空調用ダクト/レンゴー株式会社、株式会社栗本鐵工所、大成建設の共同開発)を設置し、天井内に排出。
これにより、サーバラックからの排熱とサーバルーム内の空気が交わることなく、効率の良い温度管理が可能となります。
また、排熱を利用し、
- 事務室の底冷え防止に活用
- ロードヒーティングを採用し、建物周りの道路の除雪作業を軽減
するなど、排熱の有効活用を図っています。

冷却効率を徹底比較!2種類の空調方式を採用
サーバルームへの吹き出し方式には「天井吹き出し方式」と「壁吹き出し方式」の2種類を実験的に採用し、どちらがより冷却効率を高められるかを調査。最終的には効率の高い方を標準手法として採用する予定です。



石狩湾に近い立地に配慮した塩害対策
石狩湾からの海風など、外気に含まれる塩分によってデータセンター内のシステムが塩害を引き起こさないよう、除塩フィルタを装備しました。
さくらインターネット株式会社 運用部 担当部長 宍戸 隆志様
建設候補地の一つであった石狩市に、当社のプロジェクトチームが現地視察で訪れたのは2009年12月頃でした。北国の冬の寒さを体感しながら、「ここなら冷たい外気を利用できる。」と皆が確信したことを覚えています。
大成建設の提案した外気冷房は非常にシンプルかつ機能的であり、柔軟なアイディアや、米国視察での最新情報を活かしながら、データセンターの新たな可能性に私たちと共にチャレンジし具現化してくれました。