データセンター特集

エコ&クラウド時代のデータセンターの姿

エコ&クラウド時代のデータセンターの姿

さらに進化!バーチャルリアリティを使ったシミュレーション(ネストVR2009)

大成建設の次世代型データセンター・ソリューション:「nest」

大成建設では、次世代型データセンター構築の柱として、「nest」(Next generation Environmental Solutions from TAISEI Corporation)をコンセプトに掲げ、時代の変化に対応したデータセンターを追求し続けています。

「nest」では、次世代型データセンター構築に必要なソリューションを皆様にお届けします。availability、efficiency、flexibility、redundancy、reliability、sustainabilityといった性能群から生まれる<省電力><空調システムの効率化><地球環境への配慮><環境負荷低減><リスク対策><免震技術><立地選定><建物設備の最適化>等
データセンター構築に欠かすことの出来ない大成建設のデータセンター・ソリューションをお客様にご提供致します。

「nest」
「nest」

データセンター計画段階に必要な可視化技術:「ネストVR2009」

データセンターの計画段階においては一般のオフィス計画と同様に関係者間での各種調整が頻繁に行われます。オフィス計画との大きな違いは主役が「サーバー」であるということです。
精密かつ高発熱・高集積であるサーバーを守るために最適な施設計画を進めていく必要があります。ペーパーや画像等の2次元情報を用いて関係者の皆様に計画をご理解頂くことは無理なことではありません。

しかし、皆様に計画内容を正確にご理解頂くとともに確実な合意形成を行うためには

  • 3次元空間上に未完成な建物や室内空間を見せる技術
  • 目には見えない室内環境を解析した結果を融合して表示する技術

これらの優れた“可視化技術”が必要と考えます。

また計画の過程において模型やモックアップによる実験を行うこともあります。しかし何度も検討を繰り返すことを考えると、できるだけ容易に変更が行える仕組みが必要です。

大成建設のバーチャルリアリティ技術
大成建設のバーチャルリアリティ技術

大成建設のバーチャルリアリティ(VR)技術では3次元空間に建物等を正確に表現でき、建物形状等の変更にも容易に対応できます。さらに室内空間の条件に合わせた環境解析結果も繰り返しご覧頂けます。

今回ご紹介するバーチャルリアリティ(VR)を活用したデータセンターのシミュレーション「ネストVR2009」は、データセンターの計画段階からデータセンター内部で起こる様々な現象をリアルスケールで確認して頂ける「高度な可視化力」と「解析力」の融合ソリューションです。

ネストVR2009・ソリューション

サーバー室内の冷却効率を向上:「空調シミュレーション」

サーバー室内の空調シミュレーションでは

  • 図面情報をもとに細部まで正確に表現したサーバー室内空間
  • 空調機からの冷風、サーバーからの排熱の気流シミュレーション結果
  • 任意の断面におけるサーバー室内の温度分布

上記の内容の可視化を実現しサーバー室内の“空調システムの最適化”を探りつつ“冷却効率向上”を目指します。

サーバー室内の空調シミュレーション
サーバー室内の空調シミュレーション

サーバーの高密度化・高機能化は今後更に進化する傾向にあり、空調効率に優れたデータセンターをご提供していく上で新たな仕組みを考えつつ、その機能について検証していく必要があります。

例えば、サーバーラック周辺を囲い込むキャッピングは、サーバーからの排熱と空調機からの冷風が混ざることによる冷却効率低下を防止し、高排熱のサーバーやサーバーラックの設置を可能にします。キャッピングタイプとして、コールドアイルを囲むように壁を設けるコールドアイル・キャッピング、同様にホットアイルを壁で囲むホットアイル・キャッピングなどがあります。

ホットアイル・キャッピングシミュレーション
ホットアイル・
キャッピングシミュレーション

大成建設のVRでは、これらキャッピングなどの新たな空調関連技術についても、VRを用いてその効果の検証結果をご覧頂けます。

地震被害への対策を検討:「免震シミュレーション」

最近建設されるデータセンターにおいて免震機能は標準装備になりつつあります。
免震装置を設置することにより建物の揺れを長周期化し建物の応答加速度を低減することができる為、被害を最小限に抑えることが可能となります。

大成建設では免震機能の有無によって大地震によるデータセンターの被害がどの程度違ってくるものかを皆さんに知っていただく必要があると考え「免震シミュレーション」を構築致しました。
免震シミュレーションでは免震構造のデータセンターに対し免震効果のシミュレーションを行います。そのシミュレーション結果をもとにサーバールームの揺れ具合をVRにて再現します。

免震シミュレーション
免震シミュレーション

大成建設のVRでは2画面での分割表示が可能です。免震シミュレーションではこの機能を用いて免震構造と非免震構造の2つのデータセンターが大地震時にどのような揺れ方をするか、比較表示することで違いを体感して頂けるのです。免震機能があることにより、大地震からサーバー機器や貴重な情報を守ることができることをご理解頂けることと思います。

また次回ご紹介予定の3次元免震システムを採用した場合のシミュレーションも可能であり、上下方向の揺れ具合がどの程度長周期化するかも体感できます。

ネストVR2009では、大成建設の可視化技術を活用し、今後もデータセンター計画に有益なソリューションを考えて参ります。

大地震からデータセンターを守る“3次元床免震システム”

データセンターにおける地震対策

いつ発生するか予測不可能な地震。毎年、日本各地において地震による被害が伝えられます。
数多くのデータセンターが存在する首都圏においても、いつ大地震が起きるかわかりません。

お客様の大切なIT資産を預かるデータセンターは、地震発生時においてもサーバー等IT機器を停止することなく、通常と同様の稼動状態を維持することが求められています。
一般的に地震被害を最小限に抑える、即ち地震の揺れから建物を守る方式として、耐震、制震、免震の3つの方式があります。

  • 耐震:適切な部材とその配置により、強度と粘りで地震の揺れに耐える
  • 制震:建物に設置した装置(制震部材)が地震の揺れを制する
  • 免震:建物に設置された免震装置が地震の揺れを建物に伝わりにくくし、揺れから免れる

データセンターにおいては免震機能をもつことが一般的になりつつありますが、免震方法も様々です。

  • 建物免震:建物一棟全体を免震
  • フロア免震:サーバー室等各フロア単位で免震
  • ラック免震:サーバーラック単位で免震

といったように、状況に応じた免震装置の採用により地震の揺れに対応した堅牢なデータセンターの構築が行われています。

建物の地震対策
建物の地震対策

直下型の揺れにも対応!

今までの免震装置は、水平方向の揺れに対しては効果を発揮してきました。近年発生している地震では建物への上下方向の応答加速度が大きいものもよく見受けられます。縦揺れは、建物自体には大きな被害がない場合でも、サーバー等精密機器にダメージを与えるなど、IT機器類に影響を及ぼすことが想定されます。
そこで上下方向の激しい揺れによるデータセンター内のサーバー等IT機器類の被害を最小限に食い止める手段が求められ始めました。

大成建設では、地震時に床に生じる水平振動と上下振動を大幅に低減する技術として、3次元床免震システムを三菱重工業株式会社と共同開発しました。
3次元床免震システムは、従来の水平床免震システムと今回開発された高性能上下免震床システムを組み合わせることにより、水平方向の揺れだけでなく、上下方向の揺れに対しても大きな免震効果を発揮することが可能となりました。

3次元床免震システム
3次元床免震システム

3次元床免震システムとは

3次元床免震システムは、フリーアクセスフロアの床下部分に「水平床免震システム」と「高性能上下免震床システム」の両装置をあわせて設置します。

上下方向の免震効果を発揮する仕組みとして「特殊空気バネ」と「回転慣性質量」を用いています。この組み合わせにより直下型の激しい縦揺れの周期を、長い周期でゆっくり床を上下に動かすことを実現しました。

3次元床免震システムの装置構成
3次元床免震システムの装置構成

従来型の回転慣性質量を用いていない上下方向免震装置では、上下方向周期は0.7秒程度であったものを、3次元床免震システムでは最大1.8秒まで長周期化することができます。
下図で示す通り、高性能上下免震床システム設置により阪神淡路大震災時のような大規模な直下型地震に対しても、上下方向に対する揺れを低減できることが実証されています。

上下方向の揺れの増幅率の変化を示したグラフ

下図は、鉄骨造4階建ての建物モデルに対して、上下方向の地震動を入力した際における4階床部分の免震効果シミュレーション結果です。従来型の上下免震床と比べて、高性能上下免震床システムを免震床装置として用いた時の方が、上下方向の揺れ(上下方向応答加速度)を確実に低減できることがお解り頂けます。

建物モデル図
建物モデル図
地震応答解析による免震効果の比較
地震応答解析による免震効果の比較

実証実験でも3次元床免震システムの効果を発揮

大成建設では技術センター内にある3次元振動装置を用いて3次元床免震システム全体の免震性能確認試験も行っています。
この装置は実際の地震と同じ地震動を3次元的に再現でき、高精度の震動実験が可能です。今回の確認実験より得られた高い免震効果の結果は、当システムが実際の地震時において想定通りの免震効果を発揮できることを裏付けるものといえます。

性能確認実験状況
性能確認実験状況

3次元床免震システムの活用

既に免震構造を採用している建物には、高性能上下免震床システムのみをフロアの床下空間に設置することにより、3次元床免震システムと同様の効果を得ることができます。これは水平方向の揺れは建物全体で低減、上下方向の揺れのみ各フロアの床部分にて低減することになるからです。

このほか3次元床免震システムは、データセンター等の高度情報化施設のみならず、高度医療施設や美術品等貴重品の展示室・保管庫といった、来場者等がある施設においても、利用が考えられます。

大成建設では、この3次元床免震システムも含めて、データセンターの要求仕様にマッチした、データセンターを守る技術の開発に取り組んで参ります。

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