ザ・シンフォニーホール(前半)

日本初のクラシック専用コンサートホール

ザ・シンフォニーホール(前半)

朝日放送株式会社 千代 隆 様インタビュー

アナウンサー時代はこのホールで司会も担当、現在はホール管理とシステムを担当している朝日放送株式会社事業部の千代隆様にお話を伺いました。

朝日放送株式会社 千代 隆 様

─現在、ザ・シンフォニーホールでは年間に何回ぐらい公演があるのですか?

会報誌「シンフォニア」(年12回発行)
会報誌「シンフォニア」
(年12回発行)

年間250公演、そのうち自主公演を70公演ほど行っています。
ザ・シンフォニーホールを愛してくださる皆様のためのファンクラブ「Sinfonia」も運営しており、約2万人の方が登録されています。

─頻繁に自主公演をなさっているのですね。

そうですね。朝日放送の本業は放送事業であり、自主公演を多く行うことで、そのコンテンツを通じて放送へのフィードバックを実現しています。毎週日曜日の朝7:15~はラジオ放送にてザ・シンフォニーホール・アワーをお届けし、ご好評いただいております。
社会貢献の観点からも、その意味は大きいでしょう。

─お客様はザ・シンフォニーホールのどのような所に惹かれるのでしょう?

一番はやはり「音」だと思います。お客様に限らず、奏者の方にも守り続けられている「シンフォニー独特の明確な音」が好まれ、ご愛顧いただいています。その音響的特徴から、多くの方がザ・シンフォニーホールを「ホール全体が楽器」と表現され、称賛の言葉をくださっています。

また、徹底したサービスも好評です。当ホールは構造が複雑なため、案内係を常に20人ほど配置して、お客様のご要望に迅速に対応しています。“Do my best”の精神で、お客様と心を通わせているスタッフの姿勢に高い評価をいただいています。

─今年で27年目を迎えますが、変化する社会的ニーズにも対応されていますね。

バリアフリーの概念が浸透した昨今、ザ・シンフォニーホールでも工夫を凝らしています。
伝統を守りながらも時代の流れに適応するため、トイレの増築、スロープの設置、車椅子対策など、できることから着実に対応しています。

トイレの増築に伴い、空き状況掲示板も設置
トイレの増築に伴い、空き状況掲示板も設置
障害者用リフト
障害者用リフト

─音響という面では、いかがですか。

大成建設さんとの二人三脚で“音を守る”ことを意識しています。27年たっても変わらないザ・シンフォニーホールの音を維持できているということは、関係者がこのホールを大切に思い、深い信頼関係ができているからだと感じています。

─有難うございます。今後、当社に期待されることはありますか?

常に臨機応変かつ迅速に対応いただき、感謝しています。今後もそのソリューション力を駆使していただき、ザ・シンフォニーホールの伝統と格式を、見守っていただきたいと思います。

千代 隆 様

─どうもありがとうございました。

大成建設担当者より

関西支店 設計部 浦山 哲

当時設計チームの一員として、この事業に携わりました。コンサートホール史に残る日本初の大仕事に関われる好機であり、皆が意欲を掻き立てられていましたね。
限られた敷地の中で、難解な音響性能をクリアし、多機能性とデザインを見事に融合させた技術と努力は凄まじいものでした。前例がなく暗中模索の連続で苦労しましたが、それ以上に日々充実していました。

関西支店 設計部 浦山 哲
BELCA賞の賞牌
BELCA賞の賞牌

ホール建設後は「音環境の維持・保全」をテーマとして長期修繕計画を策定し、維持メンテナンスを着実に行ってきました。その点が高く評価され、完成から21年後の2003年にBELCA賞ロングライフ部門を受賞できました。

“音を守る”という強い意志のもと、朝日放送株式会社様と当社の連携が確立されているからこそ、常に建設当初の性能を維持できているのです。
私にとってザ・シンフォニーホールは、心に残る、愛しい建物の一つです。

関西支店 設計部 渡辺 勧

当時、私は構造設計を担当しました。敷地が限られ、地下は深く、トラスが非常に大きいなど・・・とても難解な建物で、苦心の多い構造計画に知恵を振り絞りました。
一例として、外部の音を徹底的に排除するため、通常この規模では屋根を軽くするところを、コンクリートを使用して厚みと重みのある仕上がりにしたことが挙げられます。
ちょうど耐震性能に関する法改正の過渡期でしたが、先を見越して設計をしたため現在の法基準に適っており、耐震補強を行わずに済んでいます。

ザ・シンフォニーホール以降、劇場ホールは増えましたが、その国際的な高い名声は未だ衰えません。ヘルベルト・フォン・カラヤン氏は大阪で公演をする際、必ずザ・シンフォニーホールを使用していました。国境を越えて多くの人々に愛され続けるこのホールを、永遠に守り続けなければならないと思っています。

関西支店 設計部 渡辺 勧
掘削の様子
掘削の様子
骨組み全景 (立派な屋根が組み上がっている)
骨組み全景 (立派な屋根が組み上がっている)

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