一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院

投資バランスの取れた病院再編計画

建物外観

お客様のご紹介

60年余の歴史を持つ、一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院様。「弘前愛成会病院は、利用者一人一人を尊重し、質の高い精神医療を提供します」という理念のもと、精神科医療における地域の基幹病院の役割を果たしています。精神科医療の多様なニーズに対応できる外来診療と、認知症を含む急性期の入院医療を提供しています。

建物外観

お困りごと

老朽化した病院を建て替えるにあたり

  • 急性期に適した空間にしたい
  • 医療費抑制に適応し、投資額のバランスを取りたい

という課題がありました。さらに、職員の確保が難しい地域であることも問題となっていました。

成功事例

弘前愛成会病院様の増改築および新病棟の建設は、2013年3月のコンペで当社が選ばれ4月に設計開始、外来棟コンバージョンの一期工事、新病棟の二期工事を経て、2016年7月までの期間で行われました。
精神科病棟の建設に多数携わってきたスペシャリストである、ソリューション営業本部医療福祉計画グループと設計部門の融合に加え、大成建設が蓄積してきた知見・ノウハウを集結。既存施設を活用したメリハリのある投資により、安全で快適な療養環境を実現しました。

一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院  院長 田﨑 博一 様

一般財団法人 愛成会 弘前愛成会病院  院長 田﨑 博一 様

病棟再編計画では、病院のあるべき姿について「働く職員」「患者や家族などの利用者」「地域住人」の3つの視点で検討していました。職員にとって働きやすく自慢できる病院であり、利用者にとっては居心地の良い病院、そして地域からは親しみがあり頼りになる病院で、これらの条件に最もマッチしたのが大成建設の提案でした。利用者は病院の主役ですから、他社も患者の快適さや安全性確保のために工夫を凝らした提案をくれました。
しかし、私は職員もまた病院の主役であり「職員あっての病院である」と考えています。大成建設はその思いをくみ取って形にしてくれていました。また、建物の色合いや構造、雰囲気も、地域によくなじむものだと感じられたため採用しました。

STEP1:投資を抑えて新しい顔をつくる「エントランス/外来コンバージョン」

精神科病院の建設における留意点の中には、他科の病院建設とは異なる部分が多々あります。当社は、コンサルティングを担当するソリューション営業本部医療福祉計画グループと設計部門を持っていますが、その中でも精神科病院を専門とするチームがあり、細やかな配慮が行き届いた提案ができます。ソリューション営業本部医療福祉計画グループの担当者は、入念な調査およびヒアリングを実施し、10年後の病院を見据え、病院の医業収益を算出。その将来予測をもとに、収益を増やすには、どのように投資すると効果的かを検討し、投資・収益のバランスが取れた建替え計画を提示しました。
それが新外来棟へのアプローチのため、道路に面してフェンスで仕切られていた箇所に車寄せとエントランスを増築し「病院の新しい顔」をつくること、そして“本来、要件に入っていなかった”外来棟を魅力的に生まれ変わらせる提案につながったのです。

庇の下の階段は前面通路から既存フロアまでの1.5mのレベル差を解消している
庇の下の階段は前面通路から既存フロアまでの1.5mのレベル差を解消している

最初に考えたのは、手狭な外来の拡張をどうするかです。弘前愛成会病院では、前面道路に面した場所に外来棟と認知症の病棟がありました。本来病棟は落ち着いた場所に位置することが好ましく、前面道路に面している必要が無いことに着目し、病棟を手狭な外来の拡張として外来にコンバージョンしました。
このことは結果として、建設費の圧縮につながっています。また、不安を抱える患者が来院しやすいように、既存外来棟と新外来棟(既存認知症病棟)の間に明るいエントランスを増築しました。ひさしと本体のエキスパンションとして設ける空間には、弘前という土地柄に合わせてリンゴをデザインしました。ピンク色の明るい色彩と相まって、人々を和ませる役割を果たします。

エキスバンション部では「りんごのまち弘前」を表現
エキスバンション部では「りんごのまち弘前」を表現
透明感のあるエントランスホールはギャラリーやバス待合として使われる
透明感のあるエントランスホールはギャラリーやバス待合として使われる

ホテルのロビーのような待合ホール。天井の高い空間は、改修前、病棟のデイルームとして使われていました。デイルームとしては落ち着かず、居心地が良いとは言いがたいスペースでしたが、吹き抜けの空間を生かした高級感あふれる魅力的な待合ホールに生まれ変わりました。

吹き抜け空間を有効に活用した待合ホール
吹き抜け空間を有効に活用した待合ホール
待合ホールでは容態に合わせて場所を選べるように様々な家具を誂えた
待合ホールでは容態に合わせて場所を選べるように様々な家具を誂えた

無機質で殺風景なアスファルト舗装の中庭は、眺める人に癒やしを与える空間にコンバージョンしました。中庭を散歩し樹木に触れることができるように、植栽はアイランド状に配置しました。

中庭の植栽はアイランド状に配置し歩き回って触れられるようにした
中庭の植栽はアイランド状に配置し
歩き回って触れられるようにした

これらの外来コンバージョンは設計担当が最も苦労した部分であり、病院側に最も喜ばれた部分でもありました。

STEP2:快適な療養環境づくり「外来棟・新病棟の動線と機能分化」

精神科病院にはさまざまな症状の患者が訪れます。容態の異なる患者をできる限り交錯させないことが重要になります。また、自傷・他害の危険がある急性期患者など、密な看守りが必要なケースもあります。そのような急性期患者をスタッフがケアしやすいように院内空間・諸室配置を工夫しました。

1階平面図
1階平面図

外来棟は外周に診察・検査・管理部門を配置。患者の動線はすべて中庭に面しており、迷わず目的地にたどり着けます。また、外来患者は時計回り、入院患者は反時計回りの動線とし、互いが交錯しないレイアウトになっています。

2階平面図
2階平面図

新病棟は十字形のユニット型病棟とし、年齢、性別などさまざまなニーズに応じて患者層を区分できる構造となっています。

急性期治療病棟として運用する2階フロアに35床の個室を確保したほか、3階の精神一般病棟、4階の認知症治療病棟にも個室を充実させました。居心地のよいプライベート空間を用意したことで、ストレスなど新しい疾患へも柔軟に対応。さらに多床室も準個室として運用できる形状とし、快適に療養できる環境を実現しました。

個室
個室
多床室
多床室

当社は、病院の負担を可能な限り軽減することを念頭に、通常のローリング計画では5年かかるところを2年で完了させ、さらに設備・入院患者などの院内移動も1度で済むように調整しました。これらの設計において、負担が少ないローリング計画を提案したことも今回の建替えの大きなポイントです。

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