【アーカイブ記事】

青函トンネル

青函トンネル

1分間に70トン

出水事故発生!

坑内の湧水および工事用水は、いったん先進導坑の大ポンプ場に集められ坑外へ排出されていますが、1976年5月大量の湧水に遭遇して作業坑が水没し本坑にも流入するという事故がおきました。1分間に70トンという桁外れに大きい出水量であり、本坑の非常用水門を閉鎖し流入をくいとめることに専念しましたが水圧には勝てず、翌朝には本坑に流入していきました。

排水設備
排水設備

排水作業は困難をきわめましたが、懸命な作業により70日で湧水をしめきり、作業坑は復興作業に着手しました。
大出水であったのにもかかわらず、幸い流出土砂が少なく技術陣が自信をもって冷静に対処できたことで、事無きを得ました。

排水作業

大地震との遭遇

また1983年“日本海中部地震”に遭遇します。“日本海中部地震”は、秋田県能代市西方沖約100kmの地点で発生しマグニチュード7.7という大規模な地震でした。

狭いトンネル内には岩石を積んだトロッコが止めてあり、それがガタガタ揺れるので通路を通ることもできなかったそうです。もちろんトンネル自体も大きく揺れましたので、地震のあと全線にわたって総点検をしました。一部に湧水の増えた箇所もありましたが、コンクリートでライニングした部分を含めて異常はなかったそうです。

労働災害の防止と職業病対策

265万時間のトンネル工事の無災害記録

トンネルの場合は厳しい条件下で作業しており、労働災害の防止と職業病対策には常時神経を使います。発破や発破による落盤、出水など常に危険と隣り合わせです。また狭いトンネル内にバッテリー付の機関車が90数台あり、それに連結された車両が走り回るという状態です。

大成建設の吉岡工区では事故が起きないように十二分の注意をはらい、265万時間のトンネル工事の無災害記録を作りました。

トンネル工事

また労働環境という坑内の安全確保にも大変気を使いました。長期にわたるトンネル工事の場合、職業病として塵肺病が問題になりますが、これらの防止には坑内の環境整備が第一の要件となります。
青函トンネルの場合は三本のトンネルを掘っていたため、これらのトンネルを利用して換気設備を設置し換気していましたので、一般のトンネルと比べると環境はかなり良好だったそうです。
青函トンネルの作業に係わった作業員はのべ1400万人にのぼり、大成建設の工区だけでピーク時は約1500人が働いていました。

本州と北海道の貫通は、誤差なく位置関係を明らかにさせることが重要なポイントとなります。測量上陸続きとする渡海三角測量を行い、掘削の進捗にともない計画どおり掘り進んでいくようにトンネル内でも繰返し繰返し測量が実施されました。

1983年、「先進導坑」が貫通し、本州の風と北海道の風が混ざり合う瞬間を迎えました。
1985年、血と汗と苦闘の足跡を残して完成した「本坑」が貫通しました。
この大工事により様々な技術が生まれ現在に生かされています。

青函トンネル

大成建設担当者より

青函トンネル工事は、津軽海峡の海底下100mの地底世界での水と地質との戦いでした。1983年1月27日に先進導坑の貫通により、本州と北海道が初めて地続きになり、本州から北海道へ風が吹き抜けました。その瞬間の感動は今でも鮮明です。幾多の困難を乗り越えた多くの人々の努力の賜物です。
その後、本坑が貫通し、津軽海峡線として供用が開始されました。青函トンネルは新幹線用トンネルであり、現在新函館駅までの北海道新幹線工事が進められています。新幹線が青函トンネルを通ることにより、本州と北海道に新しい風が吹くことを期待します。

「トルコ150年の夢」を実現!大成建設の世界最高水準のトンネル技術

大成建設は、トルコ共和国の最大都市イスタンブールにあるボスポラス海峡において、海峡を挟んで東西にアジア側とヨーロッパ側に分かれている市の中心部を結ぶ鉄道(全長13.6km)を建設し、「トルコ150年の夢」とされるボスポラス海峡横断鉄道トンネル構想を実現しました。
本工事の主要部分は、延長約9.4kmの「シールドトンネル」と世界最深(最大深度-60m)となる約1.4kmの「沈埋(ちんまい)トンネル」及び4つの駅舎から成り、土木・建築・設備工事の設計施工を大成建設が行いました。

海峡部分に採用された「沈埋トンネル」工法では、幅15.3m×高さ8.6m、最長135mの函体(鉄筋コンクリート製の巨大な箱形の構造物)を11個、海底に沈めて接合し1本のトンネルを構成しました。沈設地点の最水深は約60m、また海流は上層と下層で流れの向きが異なる二層流(最大4ノット=時速約7.4km)という極めて過酷な条件下での沈設作業でした。

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世界最高水準のトンネル技術

2011年2月18日にはついにトンネルが貫通。翌年の2013年10月29日、トルコ共和国建国90周年の記念日に合わせて開通式典が盛大に挙行され、一番列車がアジア側からヨーロッパ側に向けて走り抜けました。これまでフェリーで30分以上を要していた海峡間の移動が、地下鉄で4分弱と大幅に短縮されました。

【工事契約概要】
施主:トルコ共和国 運輸通信省・鉄道・港湾・空港建設総局(DLH)
施工:大成建設JV
契約工期:110ヶ月
【契約内容】
  • 延長約13.6kmの軌道および付帯施設構造物の設計及び施工
    • 沈埋トンネル:1,387m
    • シールドトンネル:総延長18,720m(9,360m×2(複線))
    • 山岳トンネル:シルケジ駅(プラットホーム部(250m)、中央通路部等)
  • 渡り線、避難連絡通路
    • 開削駅舎:イェニカプ駅(760m)、ウスクダル駅(310m)、シルケジ駅出入り口
    • 地上駅舎:カズリチェシュメ駅(225m)
    • その他の構造物:開削トンネル、橋梁、換気建屋
  • 駅舎建屋、設備・電気工事の設計施工
  • 既存トルコ国鉄(TCDD)の移設

工事概要

発注者 日本鉄道建設公団
所在地 始点:青森県東津軽郡今別町浜名
終点:北海道上磯郡知内町湯の里
竣工 1988年
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